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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第6章 その正義は誰がために
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第9話 配置の真意

 読んでくださりありがとうございます。作戦会議です。


 ニコラは渋い表情である。地図に警護する聖騎士が記されていると言うのにどうして警護の目をかいくぐる道が分からないのだろう。レイモンドはニコラの言うそうとも言えないという言葉の意味が分からなかった。


「……説明してくれ」


「レイモンドの言う通り、これを見れば聖騎士たちの配置が分かり警護の目をかいくぐって天空の竜笛を探すことが出来そうだ。だがよく考えてほしい。君たちが警護をするとして、自分の配置以外はどうでも良いという警護をするだろうか。……そんなことはしないはずだ」


「……つまりこの地図通りに警護しているとは限らないと?」


「そう言うことだ。思わぬ場所から見られている可能性もある。この地図を完全に信じきって行動するのは危険だ」


 やはりニコラは騎士団長だけあって危険を未然に察知する力に長けるようだ。確かに警護は担当の場所だけを見ている訳ではない。立っている地点から見えにくいような場所がある時は時々移動してその場所の様子をうかがうだろう。故に地図の配置を過信するのは禁物である。


「……それに、これを見る限り警護が集中する場所がある。警護を集中させている場所には何らかの意味があると思って良い」


 そう言いながらニコラは広げた地図の何カ所かを指で示した。ニコラが示したのは正門、神聖の騎士団の本部、宮殿、そして書庫である。確かに地図を見る限りその4つの地点を警護する聖騎士の数は多そうである。


「正門、本部、宮殿、書庫……か。どの場所も警護を集中させている理由がありそうではあるな」


「……そうだね。正門は俺たちが入ってくるのを見逃さないため。本部は迅速に指示を出すため、宮殿は王様を守るためかな?」


「それもあるが、宮殿の宝物庫を守るという理由もある。そして書庫にも同じように古い記録を残しておく空間がある。恐らくその場所を守るためだろう」


 それぞれの理由を挙げていったマシューに続いて、ニコラもその理由を付け加えた。宮殿の宝物庫と言うと響きがかなり怪しく、そして書庫にある古い記録を残しておく空間もまた気になる理由である。


「なるほど、宮殿には宝物庫があったか」


「……宮殿はその宝物庫を守るためってのは分かるんだがよ。書庫のその古い記録とやらはどうして聖騎士たちが守る必要があるんだ?」


「それはもちろん知られたくないからだ。神聖の騎士団は古くから帝都を守る騎士団と皆に知られてはいるが、実際は帝都を守る顔をしていながらやってくるモンスターの数を調整しているような騎士団だ。……かつて所属していた君ならそれを知っているだろう?」


 その話ならばマシューにも聞き覚えがある。騎士団長であるガブリエル・クラークはその家を主体として裏の世界からのモンスターの放出を時に野放しにすることで表と裏の世界のバランスを保っているという話だったはずだ。その事実が知られたく無い故に神聖の騎士団は書庫の警護を手厚くしているという可能性は決して無いとは言えない。


「あぁ。かなり古い記録なら神聖の騎士団のしてきたことが記録されていてもおかしくは無い。知られたく無いがために警護を手厚くしている可能性はあるだろう」


「そして、そう言った理由を隠れ蓑にして天空の竜笛をも警護しているという可能性もあり得なくは無い。むしろその可能性は高いと言っても良い」


「……だが、そこを目指すのは警護に見つかるリスクが高い?」


「その通りだ。警護の数が多いと言うことはそれだけ警護に捕まる可能性が上がるということ。その場所を調べるにはかなりのリスクを伴うことになるだろう」


 そう言いながらニコラは両手の指でそれぞれ書庫と宮殿を軽く叩いている。警護に捕まるというリスクはあるが警護の数からして目的のものが見つかる可能性も大いにある。


「……現状、天空の竜笛の場所の候補としてはその2つになるか?」


「今のところその可能性は大いにある。……私でさえ知らない天空の竜笛がある場所を聖騎士が知っていれば……の話だけどね」


 その言葉にマシューとレイモンドはほぼ同時に唸り声を上げた。今までの話はあくまでも可能性の話であり、最悪の場合その全てがひっくり返る。


 天空の竜笛を手に入れるために聖騎士に捕まるというリスクを背負って行動した結果、何の関係も無い場所に行き何の成果も無くただ捕らえられる。そんな未来だってあり得るのだ。


「……こいつは簡単には決められねぇな」


「だが、迷っている時間はさほど無い。この拠点も今でこそ知られていないが時間が経てばマシューたちの居場所が聖騎士にバレているなんて言う可能性も決して0ではない」


「……なるほど。ゆっくり悩む時間も無いのか」


 マシューは唇を噛みじっと考え込んだ。決してその決断は簡単にして良いものではなく、そしていつまでも考えていいほど悠長な話でも無いのだ。


「……ひとつ良いか?」


「なんだいエルヴィス」


「天空の竜笛自体の情報はもっと無いのだろうか。それがあれば保管場所も推測出来るかもしれない」


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