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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第5章 希望を巡る謀略
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第25話 警護開始……!!

 読んでくださりありがとうございます。とうとう警護が始まります。


 演説台にはまだアンガスが立ったままである。それはつまりまだ話は終わっていないという意味であり、それに気付いたマシューたちは慌てて演説台の近くに駆け寄ったのだ。そしてマシューたちが演説台の近くまで来たことを目で確認したアンガスはゆっくりと口を開いたのである。


「まずは、今回傭兵として参加する要請に応じてくれたことを感謝したい。……皆も知っていると思うが、今回は君たちに《希望》の象徴の警護に参加してもらう。大切な役割故に皆の優れた力が存分に発揮されることを祈っている。……それでは指示を出す故、順番にこちらへ来てくれたまえ」


 そう言うとようやくアンガスは演説台から降りた。一番近くにいた人たちがすぐさま駆け寄った。その人たちは全員黒い鎧を身につけており、既に5人で固まっていた。周囲を見渡すと鎧の違いこそあれど皆既に5人集まっており4人しかいないのはマシューたちだけのようだ。


 ……となるとマシューたちの順番は一番最後だろう。マシューたちは大人しく順番が来るのをじっと待っていた。


「……しかし凄い気迫だったな。聖騎士ってのはいつもあんなものなのか?」


「あれは【鼓舞エンカレッジ】が発動していたのさ。聖騎士を対象に重ねがけされているから凄まじい気迫に思えたのさ」


「【鼓舞エンカレッジ】? それはどう言う効果なんだ?」


「【鼓舞エンカレッジ】は対象の身体能力を底上げする魔法だよ。……3、いや4だな。恐らく合計4回重ねて発動していた。あの異様なまでの気迫の理由がそれだよ」


「よく知っているな。【鼓舞エンカレッジ】に気付くものは少ないんだが、すぐに気が付くとはね」


 振り向くとそこには感心した表情で頷くアンガスがいたのである。周囲にはもう誰も残っていない。いつの間にかマシューたちの順番はもう来ていたようだ。


「気付くのは当たり前ですよ。何せ一番近くにかつていたんですから」


「それもそうだな。……さて、知っているかもしれないが今回の警護では5人1組で行動してもらうことになる。君たちは4人故に聖騎士より人員の補充がなされる。今回は副団長の私がその任を担う。……細かい説明は移動してからで良いか。それでは君たち、私について来たまえ」


「移動? どこに?」


「もちろん君たちの持ち場にだ」


 そう言うとアンガスはにっこりと笑ってどこかへ向けて歩き始めた。その後ろをついて行こうとして思わずマシューは目の前の景色を見上げた。緩やかな山道を登った先に人が住んでいるような街並みが見えた。どうやらあれが新興都市らしい。広場に集まる騎士たちで全く気付かなかったが新興都市は思っているよりもずっと近くにあったのだ。


 マシューたちの予想通り、アンガスは目の前に見える緩やかな坂道をどんどんと進んで行った。視界に映る街並みはどんどんとその姿を大きくしていた。新興都市は思っているよりも遥かに栄えた街のようだ。この場所に《希望》の象徴がある。今の役割はそれを警護することであるにも関わらずマシューの心は求めるものが近くにあることからか少しざわついていた。


 だがアンガスはそんな新興都市を目の前にして歩くのを止めたのである。もちろんアンガスほどの実力者がまさか疲れて立ち止まった訳ではない。立ち止まった理由はただひとつ。目的地がこの場所であるという理由だけである。


「さ、着いたよ。君たちの持ち場はここさ」


「え? ここなの? 新興都市の中じゃないの?」


 レイモンドはてっきり持ち場は新興都市の中だと勘違いしていたようだ。もちろんマシューもそう思っていたし、エルヴィスもエレナもそう思っていた。アンガスはそれに答える代わりにただ苦笑いを浮かべていたのだ。


「……言いにくい話ではあるが、君たちはあくまでも傭兵であって聖騎士ではない。新興都市の内部の警護には配置しないというのが騎士団長の考えなのさ」


「……なるほど、それでこの場所か」


「そう言うことだ。さ、拠点を作ろうか」


「拠点?」


「あぁ、拠点だよ。ここから先の警護は夜通しで行う。当然だが部屋で呑気に寝ることなんてのは出来ない。だから交代で寝るための拠点として今からテントを張るのさ」


 そう言ってアンガスはにっこり笑って収納袋から骨組みと布を何枚か取り出した。警護が開始されて最初に行うこと。それはどうやらテントの設営のようだ。


 エルヴィスとエレナはアンガスが取り出したテントを見て少し嫌そうな顔である。それはテントを張る難易度を知っているからに他ならない。そしてマシューとレイモンドは困惑の表情である。2人はそもそもアンガスが取り出したものが何なのかを知らないのだ。


 それから約1時間ほどアンガスからのテキパキとした指示が周囲に飛び交った。テントの持ち主だけあってその指示は的確でありエルヴィスとエレナが思っているよりもずっと簡単にテントの設営が終わったのだ。2人は案外早く終わったことに安堵の表情である。そしてレイモンドは初めてのテント設営に困惑した疲れからか息を切らしていた。


「……これで、……完成?」


「あぁ、完成だよ。これなら夜交代で休むことが出来るだろう」


 アンガスはそう言って微笑みを浮かべていた。目の前に出来上がったテントは大きく3人ほどが快適に寝ることが出来るだけのスペースが確保されていた。これならば夜通しの警護も少しは快適だろう。



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