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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第5章 希望を巡る謀略
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第18話 見られるなら見てみたい

 読んでくださりありがとうございます。警護は5人1組で行われるために1人追加されるのです。


「確かにそれは俺も気になっていたよ。……でもやはりアンガスなんじゃないかな? アンガス以外でそれだけの実力者となると残るは騎士団長だが、さすがに騎士団長じゃあ無いだろう。明日になれば分かることだからアンガスも特には言わなかったんじゃないか?」


「……なるほどね。確かに明日になれば分かることか。それじゃあ特に考えないことにするよ」


 マシューの言葉にエルヴィスは納得したように頷いている。その姿を見ながら今度はレイモンドがエルヴィスに向かって質問を飛ばした。どうやらレイモンドにはずっと気になっていたことがあったようだ。


「エルヴィスに聞いておきたいんだが、……さっきアンガスとの話に出て来たデータベースって奴はエルヴィスも見たことがあるのか?」


「データベース? ……まあ、一応見たことはあるかな。それがどうかしたかい?」


「いやぁ、全員の個人情報が載っているってのがちょっと想像出来なくてな。見られるなら見てみたかったんだ」


 レイモンドのその言葉にマシューも同意するかのように頷いた。話によればデータベースにはその人物の顔写真や年齢などの個人情報が載っており、それらが全てデータとして集められ閲覧することが出来るというのだ。それがどんなものなのか想像もつかない故にマシューもまた興味があるのだ。


「……残念だけど、僕らはそのデータベースを見ることは出来ないよ」


「へぇ? それはまたどうして?」


「個人情報が載せられている関係で閲覧には色々と制約がかかっているのさ。閲覧出来るのはギルドや書庫などに在籍している職員や騎士団の幹部なんかの一部の人間だけなんだ。だからこそ信頼出来るデータとして取り扱われているんだろう。……もっともそれは勘違いなんだけどね」


 後半は呆れたような口ぶりである。確かにエルヴィスの言うように、データベースは個人情報が掲載されている以上閲覧には何かしらの制約を設けるべきである。もし自由に閲覧出来るならば個人情報の秘匿性などあって無いようなものになってしまう。残念だがデータベースの閲覧は諦めるべきだろう。


「……そうか、残念」


「ちなみにレイモンドはデータベースで何を見たかったんだい?」


「見たいものなら色々とあるな。まず、今回の警護で相手になるであろうマルクの代わりに来る騎士の情報は見ておきたい。それから……、そうだな。マシューの父親のことも知りたいかな」


 思わずマシューは真顔になってレイモンドの顔を見た。データベースにはほぼ全ての人間の個人情報が載っているのだ。それ故にマシューの父ケヴィンの個人情報もまた載っているだろう。そしてそこにマシューが知りたかったことも載っている可能性があるのだ。


「……そうか。データベースに載っている情報を見れば父さんが何をしていたのか、そしてどうして殺されなければならなかったのかが分かるかもしれないのか」


「多分な。どこまで分かるかは分からないけど、原因の糸口くらいは分かりそうだろう?」


「……なるほど。確かにそれならデータベースを閲覧する価値があるかもしれないな」


「だが、実際に閲覧することは出来ない。残念ながらこの話は実現不可能の絵空事ってことだ」


「……」


 レイモンドは残念だとは言っているがそれほど残念そうには見えなかった。それは多分最初からデータベースは閲覧出来ないだろうという予感があったからだろう。エルヴィスはレイモンドのその言葉に反応は示さずに何も無い空間を見上げ口に手を当てた。それはまるで何かに悩んでいるかのようであった。


「……エルヴィス? どうかしたのか?」


「マシュー、ちょっと良いかい?」


「ん?」


 様子がおかしいエルヴィスを心配したのかレイモンドが声をかけたのだ。だがエルヴィスはレイモンドではなくマシューに顔を向けたのだ。一連の行動の理由が分からずレイモンドもマシューも首を傾げた。


「……閲覧出来るかもしれないと言ったら君はどうする?」


「閲覧出来るって……、データベースのことか? それはさっき出来ないと言っていたんじゃないのか?」


「確かに僕はさっきデータベースの閲覧は出来ないと言った。追放された僕にその権限は無くなったからね。……ただ実のところを言うと閲覧が不可能という訳では無いんだ。騎士団所属の職員のアクセス権限を使えば、閲覧自体は可能なんだよ」


 エルヴィスはまっすぐマシューの顔を見つめた。その目は迷いと覚悟が混じっていた。恐らくエルヴィスはこれを言うために相当な覚悟を決めたのだろう。だがそれでもまだ迷っているのは決心が揺らぐ何かがあるのだろうか。


「騎士団所属の職員のアクセス権限……。それってつまり他人のアクセス権限を使うって意味だよな?」


「そうだ」


「……危険……だよな?」


「……実際のところ他人の権限でデータベースにアクセスしたことがすぐにバレる心配は無い。ただ、データベースの閲覧は仕組み上必ずログが残る。職員が知らないログに気が付けばいずれバレる可能性はある。とは言えそれは大した問題じゃない。……問題はアクセス権限を正常に利用出来るかどうかなんだ」



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