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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第1章 風吹き荒れる平原の中で
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第11話 2人の魔力量は?

 読んでくださりありがとうございます。【認識阻害(インビジブル)】とはいったい……。


 言われるがまま2人ともニコラをじっと瞬きもせずに見ていた。にも関わらずニコラは眼前から忽然と姿を消したのである。2人とも目を丸くさせてニコラがどこに行ったか探すために辺りを見渡したがニコラの姿は見えなかった。


「……とまあこんな感じだよ」


 突然マシューの背後からニコラの声が聞こえて来た。恐る恐る振り返ると姿を消す前と同じようにニコラが立っていたのである。なぜ姿が見えなくなったのか2人とも理解することが全く出来なかった。


「……全く気づかなかった。いつの間に背後に移動してたんだ?」


「全く気づかなかっただろう? 【認識阻害インビジブル】は相手から認識されなくなる魔法だよ。今やったみたいに長時間効果を保たせるのはさすがに出来ないけどほんの数秒認識されなくなる程度なら誰でも出来るいわゆる初級魔法の一つだな。そして適性があるなら僕のように相手に全く気づかれずに背後に回ることも可能になるとても優れた魔法だよ」


 初めて見るその魔法は2人の心を鷲掴みにして離さなかった。なにしろ2人ともちゃんとニコラを見ていたにも関わらず完全に見失って尚且つ背後に回られたのだ。そして適性次第でニコラのように使うことが出来ると分かれば尚更である。元から興味があったレイモンドはもちろんマシューもかなり気持ちが高まっていた。


「魔法を全く使わずに戦う人もいない訳じゃないが基本的には使えた方が戦闘は楽になる。だから受けた方が良いのは確かだよ。もちろん魔力適性検査の結果何の適性も無かったと言う場合はあり得るけどね」


「俺も魔力適性検査を受けるよ。その方が絶対俺らのためになる」


「かしこまりました。それではお2人とも受けられると言うことですね。それでは別室に案内いたしますのでこちらへどうぞ。ニコラさんも見られますか?」


「そうだな、せっかくだから見ていくとしようか」


「かしこまりました。それでは皆さんを別室へと案内させていただきます」


 受付の女性は立ち上がると受付の奥に見える階段を上がって行った。どうやら別室の場所をニコラは知っているらしく階段を軽やかに上がりきると受付の女性のすぐ後ろを歩き始めた。


 魔力適性検査はどういう形式で行われるのか。なぜ別室で行われるのか。疑問は尽きなかったがひとまずついて行く他あるまい。ニコラの後をついて歩いて行くとやがてとある部屋の前へ辿り着いた。扉の上には魔力適性検査室と書かれていた。


「到着いたしました。ここが魔力適性検査室になります。どうぞお入りくださいませ」


 そう言って受付の女性は扉を大きく開けた。それにより部屋の中が2人にもよく見えるようになった。


 マシューは歩きながら魔力適性検査をわざわざ別室で行う意味を考えていた。短い間に出した1つの結論は魔力適性検査に必要な用具が大きいため受付には置けないと言うものであった。これならわざわざ別室に移動するのにも納得出来る。


 だが予想に反して部屋の中にはたった1つ見たことも無い機械と水晶が置いてあるだけで後はただただ広い部屋が広がっているだけであった。


「……え? これだけ? ええと、必要な機械が後から運ばれて来るのか?」


「マシュー、君は何を言っているんだ? 必要な機械ならそこにあるじゃ無いか」


 どうやら魔力適性検査には見たことの無い機械と水晶以外必要無いようである。別室へ案内させられた理由が分からずマシューは瞬きし続けていた。


「……なんでここに来たんだ? このくらいなら別に受付にあっても邪魔にならないんじゃ……」


「あぁ、なるほど。ここに案内された意味を考えてるのか。それは後で説明するからひとまず魔力適性検査を受けると良い。……それじゃあレイモンドから受けてみるか」


 まだ納得出来ずに考え込んでいるのか渋い表情を浮かべているマシューを放置して先にレイモンドの魔力適性検査を行うようだ。


 検査開始のための準備がテキパキと進められて行く。水晶が機械の窪んだ部分にはめ込まれると機械に繋がっている細い管がレイモンドの右手の人差し指へと繋げられた。これで準備は完了したらしい。後は機械の電源を入れるだけである。


「それではレイモンドさんの魔力適性検査を開始します」


 機械の電源がオンとなりレイモンドは自分の指先から何か得体の知れないものが吸い上げられて行くような感触を覚えた。数秒後、レイモンドの目の前にはギリギリ片手に乗るくらいのサイズの白い立方体が現れた。そして機械にはめ込まれた水晶は青く輝いていた。


「なるほど。魔力量は平均をやや下回るくらい。そして魔力適性は水属性になるかな」


 現れた立方体を見てニコラが冷静に分析してみせた。どうやら突然目の前に現れたこの白い立方体は魔力量を視覚化してくれているようである。そしてその結果レイモンドの魔力量は平均をやや下回るくらいのようであった。


「平均以下か……。それじゃあ魔法にはあまり期待しない方が良いのか」


 レイモンドとしては少し残念な結果なのである。指先に取り付けられた細い管を外しながら肩を落としたレイモンドはついそんな呟きを漏らしたのだ。そんなレイモンドにニコラは微笑みながら口を開いた。


「いや、これはあくまで現段階での話だよ。鍛錬次第で魔力量は増やせるからね。適性のある水属性や補助魔法を使っていきながら魔力量を増やしていけば魔法を戦闘に組み込めるようになるはずだ。さて、次はマシューの番だな」


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