表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第4章 隠された自由を求めて
153/234

第27話 覚悟を決めよう

 読んでくださりありがとうございます。《自由》の象徴を完成させるにはアクィラとの協力が必要です。


「そう言うことになる」


「……でもルシャブランとアクィラは実際今敵対関係にあるんですよね?」


「そうだ」


「……それは相当難しい話……なのでは?」


「そうだろうな。こちらから一方的に敵対視したんだから相当難しいことなのは間違いない」


 その言葉はよく言えば達観しているようにも聞こえるが悪く言えばどこか他人事のように聞こえた。少し険しい表情で見るマシューにはアレックスがどうも他のことを考えているように思えてならない。


 一度切り離された関係を繋ぐのは相当難しい話であり、相当重要な話である。だが当のアレックスは他のことに気取られているのだ。マシューはアレックスが何に気取られているのかさっぱり分からなかった。それ故に直接それを聞いてみることにしたのである。


「……王子、何か別のことを考えてませんか?」


「⁉︎ ……分かるのか?」


「何となくですけど、何か別のことでも考えているのかなと」


「ふむ、確かに私は今別のことで頭がいっぱいだ。先程言った話は重要な話ではあるのだが、これを解決しないことには話が進まなくてな」


「……と言いますと?」


 やはりアレックスは別の何かを考えていたようだ。そしてその別の何かが何なのかはマシューには分からないのだ。話が見えずマシューはますます険しい表情になっていた。


「覚悟を決めようと思ってね」


「王子! それは本当のことですか⁉︎」


 マシューが首を傾げたタイミングとビアンカが叫んだタイミングはほぼ同じであった。いったいアレックスは何の覚悟を決めたのだろうか。ビアンカの方を振り返ってみると、その表情はとても嬉しいことがあったかのような満面の笑顔である。その表情を見てマシューは首の角度を戻した。恐らく覚悟とはそう言うことなのだろう。


「……もちろん本気で言っている。どうせいつかは覚悟を決めなければいけないんだ。マシューにした話を実現させるためにもまず私が覚悟を決めないとね。……ジジイはもう起きているかい?」


「……いつもならば起きておられる時間帯かと」


「そうか、もうそんな時間か」


 アレックスはゆっくりと椅子から立ち上がり小さな窓を見上げた。窓からはかすかに朝日のようなものが差し込んで来ていた。色々なことがあったせいで感覚がマヒしているが今世界は朝である。徹夜となったマシューたちはなぜか眠気は微塵も無いが外では誰しもが眠りから覚める時間帯なのだ。


「さて、マシューたちは全員疲れているだろう。何しろ私の思い通りに事を動かすために徹夜させてしまったんだからね」


「……不思議と体は疲れてませんよ?」


「体は疲れていなくても精神的な疲れはあるはずだ。少し仮眠を取ると良い。その間に私は王様と話をしてこようと思う。……ビアンカ、彼らを仮眠室へ」


「かしこまりました」


 どうやらアレックスはマシューたちに仮眠を取って欲しいようである。言い換えればマシューたちがいない状態で行動したいということである。覚悟を決める、王様と話を、自分たちがいない状態で。その3点からマシューはアレックスの言う覚悟が何なのかを完全に理解したのだ。


 振り返ると3人はまだ首を傾げていた。その様子を見てマシューは優しく笑ってビアンカと共に仮眠室へ行くよう3人を促したのだ。3人ともマシューからも促されるとは思っておらず戸惑いを隠せていない。その様子を見てマシューはさらに笑ったのであった。


 マシューたち4人とビアンカは仮眠室へ向かうためルシャブラン城の廊下を歩いていた。アレックスの部屋から仮眠室まではそう長い距離ではない。故に聞きたいことがあるなら仮眠室に着いてからでも遅くはないのである。だが聞きたくてしょうがなかったのだろう。レイモンドはマシューにこう問いかけたのだ。


「まさかお前も仮眠室へ促してくるとは思わなかったよ。……雰囲気からしてアレックスの言う覚悟も何か分かったんだろう?」


「恐らく……だけどね。多分アレックスの言う覚悟は自分が王になる覚悟じゃないかな」


 マシューのその言葉にビアンカは思わず歩くのをやめて立ち止まってしまった。その反応が分かっていたかのようにマシューもまた同じように立ち止まった。その様子を見てマシューの言うことが正しいと判断したのだろう。他3人は驚いたような感心するような表情を浮かべていた。


「……いったいいつどこでそれに気がついたんだ? 王子から覚悟について聞いた訳では無いんだろう?」


「気付いたのはついさっきだよ。アレックスが俺たち無しで話を進めたいもので、王様と話をする覚悟がいるものとなると話は限られてくる」


「……なるほど。やはりそなたは優秀のようだな」


 ビアンカは感心するように何度も頷いていた。何度かビアンカはマシューを優秀だと言うがマシューからすれば少し照れくさいものである。


「さて、仮眠室に着いたね。俺たちはこれから仮眠を取るわけだけど、ビアンカはどうするんだい?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ