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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第1章 風吹き荒れる平原の中で
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第9話 聖騎士からの助言

 読んでくださりありがとうございます。アンガスはマシューの持つ剣が気になるようです。


「……? ……どうぞ」


 なぜアンガスは突然そんなことを言ってきたか2人には分からなかった。アンガスは白と銀の鎧を着る騎士であり、出来ることなら見せない方が良いとは思われる。だが、そうかと言って断るのはあまりに不自然であろう。


 仕方なしにマシューは腰に下げた剣を手に取るとアンガスに手渡した。手渡されたアンガスはじっくりと剣を眺めていた。


「ふむ、思ったよりは割と状態が良いな。……だがちょっと刃こぼれしているな。最近これを使ったかい?」


「……? ここへ来るまでに闘猿の森でエイプウォリアーと戦った時に……」


 そんなことを聞いてどうするのかとは思いながらマシューはアンガスの質問に答えた。マシューの答えを聞いて右の眉が少しだけ上がった。少し驚いたのだろうか。


「へぇ、これでエイプウォリアーと戦ったの? レイモンドはその盾以外に武器は持ってるかい?」


「……? レイモンドはこの盾以外何も持ってないけど……」


 レイモンドの代わりにマシューが答えた。マシューのその答えにさらに右の眉が上がった。つられるようにして左の眉も少し上がったので両眉が少し上がったと言った方が正しいかもしれない。そのリアクションから考えるにどうやらアンガスは驚いているようである。2人はその理由があまり分からなかった。


「それじゃあこれでエイプウォリアーを倒したのか。こんな骨董品で良く倒せるものだ。……実際の戦闘は実はニコラがしてたって訳じゃないよな?」


「まあ1匹は僕が弓で討伐したけどもう1匹は彼らが討伐してたよ。中々センスのある戦い方だったよ。冒険者志望じゃなけりゃその場で騎士に任命したいくらいだった。……周りは見えて無かったようだけどね」


 それを聞いてアンガスはさらに考え込み始めた。考えるのは良いが剣は返してもらえないだろうかとマシューが考え始めたその時何かを思い出したかのようにアンガスは顔を上げた。


「あぁ、すまない。この剣は返しておこう。……冒険者志望の君たちに1つアドバイスをあげよう。特別な思い入れが無いのなら、武器はなるべく新しいものにした方が良い。その方が切れ味などの状態が良いことが多いからね」


 そう言ってアンガスは剣をマシューに返した。どうやらアンガスはこの剣がどんなものか知っているようである。家の地下に古びた地図と共に置いてあったこの剣はまだ名前すらも分かっていない謎多き代物である。《七つの秘宝》である可能性も僅かながら残っているためマシューたちからすればどんな情報でも良いから知りたいところである。


 恐らくアンガスに聞けばこの剣について詳しいことが分かるのだろう。だが、それは出来ない。なにせこの剣が見つかった場所とアンガスの着ている鎧の相性がかなり悪いのである。マシューたちはあの日遠目でしか騎士を見ていない。故にアンガスがあの日見た騎士の1人である可能性はまだ完全にゼロでは無い。


 下手には踏み込めない。剣について知りたい気持ちを抑えマシューは黙り込んだ。アンガスもまたその剣について詳しく言うつもりは無いらしい。


「それじゃあ改めて僕はもう帰るよ。また会ったらよろしくな」


 そう言ってアンガスは冒険者ギルドの扉を開けて去って行った。変に緊張していたのだろう。たアンガスが話に加わってから一言も発していないレイモンドは解き放たれたかのように深く大きな息を吐いた。


「さっきから一言も話さないから何かあるのかなって思ったけど、そんなに緊張したのかい? 別にアンガスは悪い奴じゃないのに」


「レイモンドはたまにこう言う時があるよ。なぜか変に緊張するんだ。……そうだろう?」


「あぁ、……なぜかものすごく緊張してしまった。でももう大丈夫だ」


「……そんなことあるかなぁ……。まあ、良いか。それじゃあ案内を続けよう。まずは受付を案内するから付いてきなよ」


 かなり不自然だがニコラもまたレイモンドとの関係性は限りなく浅いためにどうにか誤魔化せたようである。案内を続けるために受付に向かってゆっくりニコラは歩いて行った。


 マシューはレイモンドの背後に回るとニコラに見えないようにレイモンドの背中を小突いた。それを受けレイモンドは片手で軽く詫びる。どうやら自覚はあるようだ。この様子を見て僅かにマシューは安心したのである。


 どうやらレイモンドは白と銀の鎧の騎士がマシュー以上にトラウマのようである。あの日に関係無さそうなアンガスですらこの有り様ならあの日の騎士たち本人を前にすれば完全に動けなくなる可能性が出てしまう。父と同じように命を狙われる可能性がある以上そうした事態は絶対に避けなければならない。


 俺もレイモンドも早めに克服しないとね。そう心で思ってマシューは先に行くニコラの方を見た。どうやら既に受付に着いているらしい。何かを持ってこちらへ体を向けていた。


「ここが冒険者ギルドの受付だよ。君たち字は書けるかい?」


「……書けるけど、どうして?」


「よし、それじゃあこれは自分たちで書いてくれ。冒険者ギルドに登録するための書類だ。それを全部埋めればここにいるお姉さんに渡せば晴れて君たちは冒険者になる」


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