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マシューと《七つの秘宝》  作者: ブラック・ペッパー
第4章 隠された自由を求めて
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第2話 少し聞いた覚えがある

 読んでくださりありがとうございます。たどり着けないとはどういう意味なんでしょうか。


「たどり着けない?」


「その場所は探して見つけられるような場所では無いのじゃ。一度だけ行けたきり私は二度とその場所には行けなかった。その場所では帝都の持つものよりも古い数多くの文献を見ることが出来たのじゃ……もし、その場所へ行くことが出来たならばお主の知りたいことも調べられるじゃろう」


 アイザックはそれ以上詳しくは教えてくれなかった。それは教えられなかったと言った方が正しいのかもしれない。マシューは教えてくれたアイザックに礼を言って部屋を出たのである。


アイザックの部屋を出てから眠りにつくまでずっとマシューはそのことを考えていたのだ。だがどれだけ考えても帝都のものよりも古い数多くの文献を見ることが出来る場所について何も浮かばなかったのだ。もちろん今レイモンドたちに話している時でも浮かんではいない。


「……アイザックはその場所の存在は教えてくれたんだけど、場所については知らないみたいだった。もし俺たちがその場所に行けるなら話は変わって来るんだけど、恐らくは難しいと思うんだ。それならその場所を探すんじゃなくて帝都に早く帰った方が確実かなと思ったのさ。……もちろん行ってはみたいんだけどね」


 どうやらマシューはアイザックの言う場所に行くのは諦めたようである。確かに時間的効率を考えれば諦めた方が得策だろう。だがそれはそれとして、マシューにはアイザックが言ったその場所に行ってみたいという気持ちもあるのである。


「……僕の勘違いかもしれないが、帝都よりも古い歴史を持つ場所なら少し聞いた覚えがある」


「エルヴィス、……それは本当かい?」


「違う可能性もあると思って聞いて欲しいんだが、……マシューは動物と聞いて何を思い浮かべる?」


「動物?」


 マシューはエルヴィスの言葉に首を傾げた。動物と言う耳慣れない単語にイメージが全く浮かばなかったのである。マシューのその様子を見てエルヴィスは説明をしようと口を開こうとした。だがその前に説明を始めた人物がいた。レイモンドである。


「動物ってのは要するに比較的無害なモンスターのことだろう?」


「まあ、その認識で間違ってはいないな。レイモンドは動物を知っているのかい?」


「俺はこのモンスター図鑑をずっと読み込んできたからな。その辺りのことも知ってるのさ」


 そう言ってレイモンドは得意げに収納袋から図鑑を取り出した。取り出した図鑑にはもちろん見覚えがある。マシューの記憶が正しければその図鑑には霊獣種のことも書かれていたはずだ。


いったいどこまでの情報がその図鑑には書かれているのだろうか。今度機会があればレイモンドに読ませてもらおう。マシューはレイモンドの得意げな顔を見ながらそんなことを考えていた。


「それじゃあレイモンドはなぜ僕がその動物のことを話に出したかも分かっているのかい?」


「……この図鑑によれば動物と言うのはモンスターが魔力をその身に宿らせる前の姿のことを指すとも書いてある。つまり言い換えれば動物はモンスターの昔の姿とも言える。……ここからは俺の予想だが、エルヴィスはその動物たちが棲んでいる場所を探せばアイザックが言っていたっていうその場所にたどり着けるんじゃないかと思ってるんじゃないか?」


「……すごいな。全部当たりだよ」


「……ええと、つまり動物を探すってことだよね? ……ええと、動物って何?」


 レイモンドとエルヴィスがたった今動物とは何かの話をしていたのである。それを聞いているにも関わらずエレナはそう問いかけたのだ。当然レイモンドは訝しむ表情になっていたが慣れているのかエルヴィスは全く気にして無さそうである。


「エレナは単語の説明じゃなくて、具体的な名前で知りたいんだろう?」


「そう! 別に話を聞いてないってわけじゃないの。話を聞いていても全然ピンと来なくてさ。要するに動物ってのはどういうものなのさ」


「それならそれこそその図鑑を見れば良いんじゃないか? レイモンド、その図鑑の動物についてのページを開けてくれ」


「なるほどね、話を全然聞いてないのかと思っちゃったよ。……ええと、このページでいいかな」


 レイモンドはパラパラとページをめくり、やがて全員に見えやすいように中央に図鑑を置いた。図鑑の比較的最初の方のそのページにはイラスト付きで数多くの動物が描かれていた。今まで見てきたモンスターと比べるとそこに描かれたイラストはどことなく牙を抜かれた可愛らしいものにマシューには見えた。そしてそれはエレナも同じだったらしい。


「可愛い! えっ? こんな可愛いのが本当に存在しているの?」


「もちろん存在している。何なら俺とマシューは見たことがある」


「え? 本当?」


「嘘は言わねぇよ。ほら、これ見覚えあるだろ?」


 そう言ってレイモンドは図鑑の右上端を指差した。その辺りには鳥型の動物が何匹か描かれており、その中にマシューにも見覚えがある鳥がいたのだ。その鳥のイラストの下には小さくブラウンスパローと書かれていた。


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