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二
僕はいつも不思議に思うのである。何故、彼女はこんな裸のような格好なのか、と。
頼んだシャンパンの説明を受けている彼女のテーブルから上に出ている上半身は胸ものと深く開いた白いポロシャツだった。とても上品で素敵だと思う。ただ、夏彦は言った。奇子はいつも通り素敵な体型だね、と。
貴瀬奇子という名前の女性は満面の笑顔を作った。今日は下着はつけてから心配しないで、と夏彦に釘をさしてからシャンパンを半分まで飲んだ。
夏彦はもともとが女性と自ら親しくする性格ではないから、そのような言い回しに当意即妙な返事も思いつかず、ただ、グラスに口をつけて黙っていた。
すると奇子が話し始めた。これはいつものように仕事、主に会社の売買であるから、僕がきいてもなぁと考えているのを見透かして、お金の頼みじゃないからと言われて夏彦は苦笑しつつシャンパンのお代わりを頼む。