希望の日
今日最後です。
「…勘違いしてる。あくまで追いつきやすくなっただけ、今までのプレイヤー、特に上位陣の優位性はある。……カコはドジで説明不足」
「え、だって今まではボスからしか手に入らなかったレア物がガチャで手に入るようになるんだろ?」
「すいません、紛らわしかったですね!今までのボスからのレア物が出るようになっただけです!これからのボスは順を追ってですね!だから、追いつかれやすくはなりましたが、すぐに抜かされることはありませんよ!あとミライ!私はドジではありません!」
そういうことだったのか、なら少し安心だな。
あれ、でも…
「なぁ、俺そのこと口に出してたっけ?」
「…ここはVR、どう考えてるかなんて分かる。けど疲れる、だからあまりしない」
なるほど…けどちょっと怖いな…悪用だけはしないでくれよ?
「…分かった、約束する」
「もう使ってんじゃん!」
「あの…本題戻っていいですか?」
ほったらかしにされたカコが恐る恐る聞いてきた。
「あぁ、ごめん。もちろん大丈夫だよ」
「えっと、どこまで聞いてました?」
「長く遊んでくれていた人達にってとこまで。なんかごめん」
「2回も謝らないでください!悲しくなります!それでは説明します!長く遊んでくれていた人に向けて、運営からのプレゼントがあります!内容は、アイテムやスキルですね!特に、ランキング上位者にはとっても豪華なプレゼントがありますよ!」
「…ランキング1位のあなたには、運営としてもいいものをあげないと下へのが大変」
そう、俺はこのゲームで1位なのだ。しかし、今はそのことはあまり重要ではないので置いておく。
「そこまでいうなら期待しておくよ、アップデートと同時で来週渡されるんだろ?」
「そ~れ~が~!なんと~スキルの名前だけは言っていいってことになってるんですよね~!どうです?聞きたいですか?」
「…うざい」
正直俺もイラッときた。
すると、そんな俺の気持ちを読んだのかすぐにミライは続けた
「あなたには、固有スキルが渡されます。いいですか、そのスキルの名は・・・」
そのとき、急にミライとカコの雰囲気が変わった。巫山戯ている気配が消え、明るい声色が落ち着いた真面目そうなものに変化した。その目からは、まるで俺に何かを期待しているような、俺を敬っているような、そんな感じがした。
「『希望の日』です」