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厄災龍になりました。  作者: 鰹会
厄災呱呱
6/9

序 端書き 母と子と


温かな幸福感が体を包み込む


目を開けると自分は、一頭の大きな白竜の腕に抱かれていた。


····母親·····


白竜の目から涙が零れ落ちる

傷だらけの俺の体に涙が触れる


傷が塞がっていく


鈍い灰色に輝く鱗、灰色の翼·····


気が付けば、俺は生まれて初めて完全な肉体で地面に立っていた。


「あァ····まさか何故····こんな事に····」


俺を地面にそっと下ろした竜が呟く


「間違いだった·····間違いだった·····」


白竜が俺の体を爪でサッと撫でると、俺の体は一瞬で子竜から人間の赤子に変わった


え?あれ?

人間·····?


赤子に姿を変えた俺を見て、白竜が嘆く


「先祖の過ち·····正すべくは子孫·····」


頭に白竜の手が軽く乗る


「血脈の力と、罪業を····《インへリア》」


白竜の呪文が終わると、突如体が燃える様に熱くなった。


あちぃ!何が起きてる?


内側から発する様な灼熱と共に俺の体が急成長していく。

赤子から少年に、少年から青年に·····。


やがて体の燃える様な痛みは消えて、後には高校生程の青年に成長した俺と、大量の鱗が剥がれ、やつれ果てた白竜がいた。


「遥か昔····人に恋をした竜がいた。それが私の先祖だ。」


やがて竜は人でも竜でもない存在を産んだ····更にその存在と人間との間に産まれたのが今の竜人なのだそうだ。


·····と言われても竜人を見た事が無い俺にはどうもよく分からない。


「疑問はあるだろうが聞いてくれ····私にはもう時間が残されていない····」


!?

死ぬのか?


「死ぬ····いや、限りなく死に近い存在となる。」


なんで!

もしかして俺を回復させる為に····


「違う···誓約だ。ここに来た時点で死は確定していた。」


母は父と何かしらの誓約をしていたのだろう。

最も、頭では分かっても飲み込む事は出来ないが。


「これはせめてもの足掻き····私からのささやかな復讐·····。」


母親は俺に力を与えた····感覚で分かる。

体に力が漲っているからだ。

五感もさっきまでとは比べ物にならない位に研ぎ澄まされている。


「ともかく、私の祖先は人の血を汲んだ·····」


そしてその血がたまたま強く出てしまったのが俺だ。

国の守護竜である父竜は、人間と竜のどっちでもない不気味な俺をこの切株の中に捨てた。

俺の体は灰色だ。


この世界には古くから、体色が灰色の竜は厄災竜として忌み嫌われてきた。

国を守る竜が厄災の竜を育てていては、少し大袈裟に言うと、国家の転覆を企んでいると取らねかねない。


だから父は俺を殺そうとしたのだ。


それだけの事を語り終えた母は、地面にそっと頭を下ろした


「あなたは人間になれる·····その姿で一生を過ごしなさい。」


「はい····お母さん····」


俺の返事を聞いて安心したのか、白竜は瞼を閉じて、眠りについた。


転生から約1週間、俺の母親は死んだ。

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