運命の恋!?
女視点
「ちょっ、ええっ!?」
目の前の占い師が突然白目を剥いて傾いたので、私はとっさに中腰で腕を伸ばして占い師の肩を掴んだ。
お、重い…。
「すみません!誰か!」
都内主要駅の地下通路の一角にあるため帰宅ラッシュで人通りも多いが、喧騒に声が掻き消され誰も立ち止まってはくれない。
人を呼びに行くなり救急車を呼ぶなりしたいが、片手ではとても支えきれそうにない。
「う、腕がもう限界…」
だが、この手を離したら、この人は椅子から転げ落ちて、頭を打ち付けてしまうだろう。目をギュッと瞑ってプルプルと震える腕に力を入れ続けるが、ついに力尽きたのか腕がふっと軽くなった。
慌てて目を開けると、気絶した占い師越しにスーツを着た男性と目が合った。
「大丈夫ですか?」
スーツの男性が占い師を後ろから支えながら、私に向かって声を掛ける。
「あ、あの突然倒れて、その、どうしたらいいか、、」
「大丈夫ですよ。私は内科医なんですが、見たところ軽い貧血かと思われます。救護室まで運びますね」
「わっ」
男性は占い師を軽々とお姫様抱っこすると、救護室まで歩き出した。
「隠れ筋肉…」
突然現れた医師のあまりの迅速な対応に呆然としていて、場違いな心の声がつい漏れてしまった。
すると、医師が立ち止まって振り返った。
「あ、いや、なんでもな…」
「すぐ戻りますんで、ちょっと荷物見てて貰えますか?このお店の貴重品もあるでしょうし。テナントの警備員を連れて戻ります」
「は、はい」
颯爽と占い師を抱えて歩く医師の後ろ姿を見て思った。窮地を救う王子様。ドクンドクンと胸が高鳴る。
ああ、これは、あの占い師が身を張って引寄せてくれたのだ。
私の運命の人を。




