邪魔者
どうやら前世の記憶がある(元)悪徳ブリーダーは、元妻の(元)同級生である。前世の時から明らかに元妻に気があって、久しぶりの再会でこちらは結婚しているというのにしぶとく連絡をよこした。更には掛け合わせに失敗し商品にならなくなった雑種犬を売りつけてきた外道である。
だから同窓会は嫌いなんだ。
ろくな事にならん。行かすんじゃなかった。
いや、こういうところだ。現世ではモラハラと呼ばれるこの思想が妻を苦しめていたんだ。俺の馬鹿!学べよ!
もちろん悪いのは同窓会でなくチャラピー自身であることは分かっている。が、今は全てに苛立ってしまう。忌々しいやつめ…
と思ったらトイレ前で何やらラブが妻と良い感じに!!
咄嗟に待てと叫んでしまったが、完全に邪魔者だ俺…どうしよう。
くっ…!やるしかない!ここで怯んでどうする!妻を諦めるのか!?やるんだ、俺!!
「汝、今言わんとすること心に秘めよ。タイミングを待て」
何かが乗り移った占い師の演技しながら、カッと目を見開く。妻がドン引きした顔をしているが、止めるわけにはいかない。ラブはこちらを訝しげに見ているが、目力で念じる。
告るな 告るな 告るな 告るな…
ラブは渋々という顔で頷いて立ち上がった。
良かった!伝わった…!
「え、なに?もしかしてこの筋肉も彼女のこと好きなの?」
「ひぇっ!?」
チャラピーの空気が読めないひと言に、妻が驚いたような声をあげた。
オイィィィィ!!何言ってくれてんだよ!空気読めよ、この悪徳ブリーダーめ!
「まっ、ボクが一番好きだけどね」
どさくさに紛れて妻の手を握るなー!
慌てて引き剥がすも、彼女は戸惑ったような表情をして、手を握られたことすら気になっていない様子だった。
そんなにラブが気になるのかよ…。
「で、お姉さんはこの中だったら誰が一番好き?」
はぁ?
なんだこのバカは。少しでも自分に可能性があると思ってるのか。
「私は猫カフェに行きます。それだけです。」
わぁ怖…!虚無ってこんな表情なんだ。もう会話成立させる気もないじゃないの。
「コイツと俺は消えるからさ、筋肉と猫カフェ楽しんでおいで」
絶対に本心じゃない。納得なんか全くしてない。
でも気がついたら口がそう動いていた。今の彼女にとってそれがベストだろうと分かっていたから。




