表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/24

二人三脚

女視点

「ねぇ、なにあれ」

 すれ違う人が口々に言う。

 先を急いではいるが思わず振り返る。


 うん?占い師とチャラピーが肩を組んでる…!いや、占い師は胸ぐらを掴まれてる?


「この悪徳ブリーダーが!そうまでして俺たちを滅茶苦茶にしたいのか!恥をっ…知れっ…ヒィッ」


「束縛公務員がほざくな!グフッ」


 斬新な二人三脚をしながら斬新な罵り合いをしている。そして私に向かってくる。絶対に追いつかれたくない。


 私は全力疾走していた。

 カフェの入り口が見えてきた。


 ハァッ ハッ ハッ


 コラボカフェは、この雑居ビルの8階!


 肩で息をしながら振り返ると、アイツらは私にはまだ気付いていないようだが、グングン近付いてくる。

 やっ、やだっ、来ないで…!!

 心臓がバクバク鳴っている。

 エレベーターのボタンを連打しまくるも、階数表示が全く変わらない。えっ、嘘!おっそ!なんで!もう!ムリムリムリ!みっ、みつかる!!!絶っ対に関わりたくない…!

 エレベーターボタンの連打は諦めて、横の非常階段を駆け上がる。


 ハァッ ハァッ ハッ


 ヒール履いてこなくて良かった。犬の散歩スタイルで正解だったわ。


 全力で駆け上がれたのも3階フロアまで。

 は、 8階…。目が回る…。これ確実に明日は筋肉痛だ…。


 そもそもなんでアイツ、ちゃんとチャラピー撒いてこないのよっ!まったく!いつもお人好しで断りきれないんだからっ!

  …あれ?いつも??占い以外で会うの初めてだったよね?なんでいつもって思っちゃったんだろ。

 そんなことも一瞬脳裏によぎったが、占い師は見るからにお人好しだから、どうせいつものことだろう。知らないけどわかる。そういうことだ。


 カン カン カン カンッ


 私の足音が鳴り響く。


 途中で他のフロアからエレベーターに乗ろうかと思ったが、あの距離だ。時間差によってエレベーター内で鉢合わせ、密室空間で逃げ場なし、なんてことになったら終わりだ。完全におしまいだ。あの二人のタイミングは神がかっているからあり得る。

 私にはあの二人を止められない。そして、お人好し占い師と私では、チャラピーの押しの強さに負けるのが目に見えている。

 くっ…!筋肉ドクターが来るまで、持ちこたえられるか…!


 カン カン カン カンッ


 私は酸欠で脳細胞が死滅し、ただただ無心で階段を登り続けていた。


 つ、着いた…!8階!!


 女子校育ちの文化部で、運動とは縁遠いところで生きてきた私の足を褒め称えたい。頑張った…!今日はもうよく頑張った!早くお家に帰ってお風呂に浸かって休みたい。


 ガチャッと非常階段のドアを開けて、私は目を見開いた。


『本日作者急病のためサイン会は中止とさせていただきます』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ