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競歩
男視点
しぶとい奴め!
前世でも今世でも運動能力に恵まれなかった俺にとって、準備運動なしの競歩は絶望的だ。
太ももも既に攣りそうだし肺が悲鳴をあげているのを感じる。
それでも死に物狂いで続けるのは並走するチャラピーに負けてはならないからだ。スマホが鳴っているが応対している余裕などあるはずもない。
お前がただのチャラピーじゃないことは分かってんだよ…!
「運命なんだ…!」チャラピーが掠れた声で訴える。
「ハァ…ヒィ…まだ言うか……偶然を装ってるだろおまカヘェッッ」
情けない音が気管支から出たし足ももつれた。
「ただの偶然のラッキーに胡座かいて何の努力もしてないお前にだけは言われたくないっ…ハァッ…ハッハッ…」
「お前に…何がッ…グハァッ…わかるんだ!32年…ヒュッヒュー…探し…続けてきたんだ」
「テメエはいつも自分のことしか考えてねぇんだよっ!彼女をいつも泣かせてたお前には譲らねぇ…!」
「お前…やっぱり…」
チャラピーは立ち止まって俯いた。俺は振り切るべきかと思ったが、思わず立ち止まってしまった。べ、別に…体力が限界だったわけではない。
「泣いてる彼女を毎回笑わせてたのは俺なんだ。ずっと傍にいたのも俺なんだっ!お前さえ居なければ…!」
チャラピーが俺の胸ぐらを掴んだ。




