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そうだテスマーレ、行こう。

第7部目です!

冒険って響きがズルいですよね〜〜!

「おいッ!いい加減起きろ!」


この変態の肩を強めに揺さぶる。

頭がガクンガクン揺れているのになかなか起きない。


「おーーきーーろーー!!ハローーーーー!!?」

「んがッ!くぁっ ぷん..... ハッ!申し訳ない!ついまた寝てしまった...!」

「この人随分肝が据わってるみたいね.....。」








そうだテスマーレ、行こう。








「いやはや!申し訳ない!昨日旅の疲れからか、つい眠くなってしまって.... 近くに焚き火が見えたので近づいてみると、あなた方が談笑しているのが見えましてね!夜中ということもあり、この姿のまま行っては問答無用で殺されてしまいそうなので、とりあえず隠れたまま朝を待とうと思ったのですが....いや〜!気づいたら一緒に寝ちゃってました〜!2人ともグッスリで全く気づかな...」


[パッシーーン!!]

「ぎゃぁあビンタァ!!」


「ペラペラペラペラ話しが長ェ!まずは手短に自己紹介!」

「隣街から来たドヘと申します強い方を探しているナンパ好きの男ですハイーーー!!!」

「よろしい。.......ん?強い奴を探してるのか?」

「はい....実は....。」


ドヘは俺達に事情を話し始めた。


「実は、わたくし共の住む街、テスマーレには、少々問題のある孤児院がありましてね....。」

「ああ、聞いたことあるわ。」

「そうなのか?」

「ええ。確か、孤児が女の子だけなのよね?ドヘさん?」

「そうなんです....。」


.....なんか嫌な予感するな....


「そこの孤児達、何故か里親を拒否するんです...。」


.....図星か。


「街の人達は皆言ってます。”あそこの院長はおかしい“って。」

「孤児達ではなく院長のことを?」

「はい。引き取りたいって願い出た人が言っていたんですが、あの孤児達は異常なまでに、院長に、その、惚れているようだ、と。」

「惚れてる、ねぇ....。どーだろうな。」

「街の人達も皆そう言いました。だから、力のある人を呼んで、ぜひ確かめて欲しいと。」


相手がもし強かった場合を考えて。とドヘは続けた。確かにそうだ。もし仮に孤児達を”洗脳“しているとしたら、


もしそうだったら.........


「.....相手はきっと魔道士だな。」


俺の推測に、マヤは強くうなづいた。


「なぁ、もし良かったら、俺達がその孤児院を調べてもいいか?」

「!!なんと!!いいのですか!?」

「ええ。私達も確かめてみたいの、その孤児院のこと。」

「嗚呼...!!ありがとうございます!!こんなにも心強い方々が来てくださるなんて.....!!」

「大袈裟だって!じゃあ早速準備を......、ごめんな?殴って。痛かっただろ。」

「はいすごく!!! あっ!じゃなくて....」

「動揺してたとはいえ本当に悪かった。よければ使ってくれ。」


そう言って回復薬を手渡す。

さっきビンタした跡がまだ痛々しく残っている....

本当に悪いことをしてしまった...。


「御心遣いありがとうございます...!」


異常なド変態と思っていたが、俺よりよっぽど人間ができている......

ますます申し訳なくなって、つい余分に手渡そうとしてしまう。


「いえいえ!こんなに多くは....!」

「頼む、使ってくれ。罪悪感で死にそうなんだ。」

「罪悪感なんて...!元々こんな格好で勝手に隣に寝ていた私が悪いのですから...!」

「じゃあせめて俺の上着を使ってくれ!街にそんな格好で行くわけにもいかないだろ!?」

「い、いいのですか...!?しかし、これ以上ご迷惑をかけるわけには...」

「使ってあげて、ドヘさん。人助けだと思って。」

「 わ、分かりました!...本当に、なんとお礼を言えば良いか...!」

「いいんだ礼なんて!言わないでくれ!」


それでも律儀にもう一度礼を言ってから、ドヘ”さん“は俺の上着を着た。股下までスッポリ、結構余裕がある。

身長高くて良かった....!


「ねぇドヘさん?ずっと気になってたんだけど、あなたなんであんな格好だったの?」

「ああそれはですね!昨日、気温が結構高かったじゃないですか?わたくし暑がりなもので、つい全部脱いでしまいまして....。

その時のなんとも言えない解放感に、わたくし少々はしゃいでしまいまして....。一通り林の中で暴れ回って、いい汗かいたし涼しくもなったし、さて服を着ようと思ったら、 全て風に持っていかれてしまいました....。」


....こんな良い人にこんなことを言うのもなんだが...


「ドヘさん、アンタちょっとアホだよな?」

「エヘヘヘヘ.....////」


照れることじゃないと思う。




準備をし終えた俺達は、林を抜けるべく歩き出した。

ドベさんが言うには、隣街まで ここからさほど距離はないらしい。


道中、ドへさんのズボンが木の枝にぶら下がっていた。


「おお!愛しのマイスウィートズボン....!」


ドへさんはそう言って枝から取って躊躇なく履いた.....が......


ノーパンかぁ......



ーーーーーーーー



「そういえばエド、あなた なんであんなに回復薬持ってるの?どうせ傷を負うことなんてないでしょ?」

「いや、回復のためじゃないんだ。これからはちゃんとした用途で使うけど。」

「?回復のためじゃない?どういうこと?」

「これ、薬なのに苦くないし、どっちかといえば飲みやすいだろ?」

「まぁ、全年齢対象のアイテムだしね。」

「保存も利くし、値段も安いし、何よりあの薬品っぽい独特な味がクセになってつい...」

「回復薬をジュース代わりにしてんじゃないわよ!初めて聞いたわそんな使い方....。」

「お二人ともーーーーー!!」

「「!」」


ドヘさんが向こうから手を振って呼んでいる。


「着きましたよーー!ここがわたくし達の街でーーーす!」


駆け足でドヘさんの元へ急ぐ。

林の向こうに広がっていたのは....


「...!こんな所に繋がってたのか...!」


高い丘の上から、レンガ造りの街並みが一望できた。


「...実はわたくし、旅に憧れていまして.... 一度でいいから、乗り物を一切使わずに、遠くへ出向いてみたかったんです....。だからこの役を買って出ました....。」

「.....今なら分かるぜ、その気持ち....。」





俺達の冒険 最初の街は、 テスマーレ。




ご閲覧ありがとうございました!

次回もどうぞよろしくお願いします!

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