歩く歩く歩く
更新しました!
私の小説、部分はもう20部超えてるんですが、1部1部がとても短いので、ちゃちゃーっと読みやすいと思います!
ぜひぜひご覧ください!
「ホラ!早起きって言ったのはあなたでしょ?早く!」
「地上への扉の鍵はもう開けてある。準備ももうしてあるんだぞ!」
「ちょ、ちょっと待って...」
頭がクッソガンガンする......。昨日早めに切り上げたつもりだったんだけどな......。
宿泊代は部屋の机にきっちり置いて行く。後で従業員が取りに来るらしい。
「オケ..オーケー!よし行こう。」
「ええ、行きましょ。」
「〜♪」
ガロが先頭を切って歩いて行く。昨日のようなラフな格好ではなく、しっかり冒険向きで、背中には武器の柄の長い、全体のバランスが良いネイルハンマーを背負っている。
「(そういえばガロは、俺と同じく“人間”なんだよな、きっと。ってことは....)」
梯子を上りながらガロへ質問をする。
「ガロも俺と同じ人間だよな?どうやってここに来たんだ?」
「いや、俺は上界生まれだぜ。ガーベントっつう大工の種族と人間のハーフなんだ。」
「!そうだったのか。」
確かに、上界に人間は皆無って訳じゃないらしいからな。数がめちゃくちゃ少ないってだけで。
「ハーフ....よく健康体で生まれてこれたわね。異種族間の子どもは奇形が多いって聞くわ。」
「まぁ、運が良かったとしか言いようがねぇな。...ここを出て行くっつった時、あ、親2人ともここで働いてんだけどな?その時に笑って送り出してくれたんだ。種族の壁もねぇ良い夫婦だよ。」
「へ〜、良いな!...だったら、そのめんどくさい性格は誰似なんだ?」
「うるせー!知らねーよ!」
他の客に迷惑のかからない範囲でわちゃわちゃしながら外へとひたすら梯子を上って行く。
しばらくして、ようやく地上への扉が見えてきたらしい。
一足先に、ガロが身軽に外へと出た。
「よっ、と。」
一気に外の光が流れ込んでくる。
「うぉまぶし!」
「ふふっ。」
これもなんかデジャブだな.....。
「ふっ....。」
つい込み上げる幸せな笑いを噛みしめる。
「早く来いよ!今日も良い天気だぜー!」
急かされて止めてしまっていた足を、手を、再び動かす。
「ん〜....、爽やかな朝だ。」
大きく伸びをする。朝特有の冷気が心地いい。
さて、またこっから歩いて行かなきゃな....!
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森の中を街へ向かって突っ切って行く。ガロは一度その街に訪れたことがあるらしく、地図なんて捨てちまえー!とか言って先頭をずんずんと進んで行く。
「昨日、お前らが寝た後にパブに行ってみたんだけどな、そこで話したオヤジが言ってたんだ。攻略に躍り出た冒険者達は3万人近い数。集団で挑んだ奴等も、全員帰ってこなかったってな。だから地元では、シンプルに“墓場”なんて呼ばれてるらしい。」
「墓場ねぇ。ハッ!むざむざ埋まってやるかよ!」
「死ぬ気なんてしないけど、注意ぐらいはしておいた方がいいわね。....もしかしたら出口がないのかも。物理攻撃が効かないとか?」
「何考えたって分からねぇことは分からねぇよ。入ってみないことにはな。」
マヤの言ったことが本当だったとしても........まぁなんとかなるだろ!
もし死んでもこれが冒険だ。皆覚悟は決まっているし、誰のせいにもならない。
なんとかできそうなら、2人が無理でも俺がすれば良い話だ。
「とにかく今日はできるだけ歩くぞ〜。3日も4日もかけたくねぇからな。」
「4日は無しにせよ、最低でも3日はかかると思うぜ。ま でも退屈はしねーよ。道中にも面白いのは沢山あるからな。」
「できれば全部回りきりたいけど.....あなたのオススメは?」
「そうだな......。オススメというか、行ってみてぇ場所がある。」
「おぉ、どこだ?」
「.......ま、着いたら教えてやるよ。こっちだ。ちょっと道ズレるぜ。」
ガロの案内のままについて行く。
行ってみたい場所か.......。
「そこってモンスターが関係してたりするか?」
「どーだろ〜な!」
.....この感じは......
「(....期待しても良さそうだな。)」
ニヤケてしまいそうなのを必死で堪える。こういう時の俺の顔は、悲しくなるのであまり言いたかないが、かなり怖いらしい。初期の頃の依頼人にそう言われたことがある。
「(平常心平常心....。)」
なんとか取り繕う。
モンスターが来てくれないなら、こちらから出向くしかない。
良いチャンスだ。丁度物足りなかったしな。
「(今度はもっと強いやつであってくれ....。)」
静かに、しかし強くそう願いながら、目的地まで引き続き歩き続ける。
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[ グォォオ.......ウ゛ォオオ....... ]
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