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ゲートの向こう、冒険の舞台

更新しました!冒険ーーー!!どうぞご覧ください!


夜が明けて、太陽がすっかり顔を出し切った頃、

待ちに待った上陸の時が来た。


テスマーレ、(一瞬だけ滞在した)バースリー、リリンシータニー ときて、第4の街。


「“エスターシャ”〜!夢みる冒険者の街〜!」


「来たァ〜...!」


最初この世界に来た時はあんなに混乱していたのに、今では冒険を求めてうずうずしている。

単純だと言われようが、こうして楽しめているなら俺の勝ちだろう。


「ご乗船ありがとうございました〜!」


俺達2人と、魔道士の爺さん、その他何人かが降りると、船はまた次の目的地へと出発して行った。


「(降りる奴少ないな....。爺さんの言う通り、殆どがただの旅行者だったのか。)」


船を見送り、振り返れば、まるで西部劇のような街が、俺達を出迎えた。

街の中へと入って行けば、


「お爺さんの言っていた通り小さな街ね。武器屋に酒屋....あのテントは何かしら。」

「何だろうな、行ってみるか。」


訪れてみると、そこは宝石店らしかった。


「!いらっしゃい。お買い物?それとも鉱物の鑑定かい?」


青年が出迎える。


「いや、何の店か気になって見に来ただけなんだ。...こんな所で宝石なんか売ってて大丈夫なのか?」

「ああ。ここには酔っ払いはいても、盗人なんてお粗末な奴はいねぇからさ。それにもし襲われても、周りは冒険者や魔道士だらけ。犯人が逃亡する隙なんてねぇよ。」


確かに。


「...この宝石、すごく綺麗...。」

「おっ、それ俺もお気に入りのやつ。“ トワイライ・ルーン ”。別名、“ 蛍の涙”って宝石なんだ。ミントグリーンが優しくも鮮やかだろ〜!すげぇ小さいけど、他のどれよりも年寄りなんだぜ?」

「「へ〜」」


マヤと声がハモる。

こういう話好きなんだよな〜。昔、学校で博物館見学なんかに行った時も、誰よりも興味深く説明を聞いていた記憶がある。


「それが使われてるネックレスが、コレ。お値段たったの3000フーロ!」

「たっけぇよ!...こんなに小さいのに3000フーロ...!?」


日本円で30万..... こんな豆粒サイズで......。


「....流石に無理だぞ?買えないぞ?」

「買ってもらいたいなんてはなから思ってないわ。あなたの所持金に私のを全部足しても、到底無理な額だし。」

「他のもあるけど、どうする?嬢ちゃん。」

「......コレください。このブレスレット。」

「お、それなら買えるぜ。」

「何言ってるの。買ってもらうつもりはないわ。」

「大人だね〜嬢ちゃん!毎度!」


そのままテントを出る。


「私はあなたの子どもとかじゃないんだから、せめてお金に関しては甘やかさないで。」

「はい...。」


ふと、思った。恩返しのつもりも勿論だが、もしかして、何でも買ってやろうとしてしまうのは........


「(俺がジジイだからか....!?)」


気持ちはまだまだ若いつもりだったが、順調にジジイになっていたのか......!!

....孫のようにみてるなんて言ったら、マヤは怒るだろうな。っていうかそもそも、マヤは俺が転生したことも知らないからな。

言おう言おうと考えていたのに、言わずにきてしまった。まぁ打ち明ける必要もないだろうけどな。


「そのブレスレットも綺麗だよな。」

「ね。....そういえば、何の宝石が使われてるのか聞かなかったわ。」

「戻るか?」

「いいえ、いいわ。」


太陽の光にブレスレットを照らして、満足そうにその様子を見ている。

キラキラと光る オレンジ色の暖かな宝石は、マヤの涼やかな雰囲気と相まって とても良く似合っている。


俺も何か買ってみれば良かったかな....。いやでも、いい年したジジイが身に付けたところで....容姿は若いけどな。


「(それでも、あんなに綺麗なものは 俺には似合わないだろう。)」


そんなことを思いつつ、準備を整えるべく、俺達は市場へと足を運んだ。

そこで食料や水などの必要な物を買いながら、同じくこれからゲートへ向かうという魔道士と、少し話をした。修行のために訪れるのは、これが4度目だという。今回は、最低限の荷物だけで挑むらしい。


ゲートの向こうは、強い者以外を阻む場所。

裏なんてない、勝者が勝者のセカイ。

笑えるのは、強い者のみ。


そう言い放った相手の顔は、微塵も臆してなどいない、覚悟の決まった表情(カオ)だった。


相手の熱が移ったのか、今の気持ちに拍車がかかる。

他の冒険者や用心棒と戦うことなんてもうどうでもいい。そんなことはしていられない。

壮大な冒険が、すぐそこで 俺達を迎えようと待っているのだから。



今、ゲートの向こう側へ 足を踏み入れた。








ゲートの向こう、冒険の舞台








ゲートの向こうには広大な森が広がっている。いつかの樹海を思い出しながら進んで行くと、市場で話した魔道士が遠くに見えた。

声をかけようと思ったが、次の瞬間、相手の姿が消えた。

一瞬驚いたが、すぐに、魔法で瞬間移動したのだと理解する。4度目であれば、強いモンスターが出現する地帯も、大体把握しているのだろう。そこまでの道のりは、もはや必要ないと思っているのかもしれない。


歩き続けているうちに、土地が平面から、斜面や岩場へと変化してきた。

足元に気をつけながら下りていく。滑って転んで怪我なんて、みっともない真似はマヤの前でしたくない。


しばらくすると、森が開け、とある場所へ出た。

そのとある場所とは....


「....!深い谷だな〜.....。」


遠くには桟橋が見える。マヤも気づいているようで、向かおうと促してくる。それに従おうとするが、ふと、あの爺さんが言っていたことを思い出す。



“「間違った道は無い。冒険者にとって、全てが最高の道となるからだ」”



確か、そんなことを言っていた。


「.........マヤ。」

「?何?」

「なぁ、



この谷、下りてみようぜ。」





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