山爺
更新しましたー!
どうぞご覧ください!
寝惚けた頭を無理矢理叩き起こし、なんとか朝早く起きて、身支度を済ませ、この街を出る。
街がまだ寝静まっている日の出前、薄っすらとかかる朝靄の中を歩いて行く。
俺達が向かっているのは.....
「本当に戻るのか?」
「ええ。やっぱりあの山を越えてみたくなったの。街のモノ好きしか登ろうとしなかった、あの山をね。...恐怖が消えたわけではないけど、」
「モンスターと戦うのも、冒険の醍醐味だからな。....ん?違うのか?」
「...いいえ、あなたの言った通りよ。」
今、俺達は ガスタノス狩りをしたあの森へと向かっている。
「早く行って早く森の中に入っちゃえば、誰にも見られないわ。」
「だといいけど。」
一部とはいえ森を破壊した犯人だからなぁ、俺は...。
「ていうか、あの山に登る人なんていたんだな?」
「ええ。全員帰って来なかったけどね。」
「...それはやっぱり、」
「死んだんでしょ。」
すっぱり言いやがる....。
「山を越えてそのまま冒険に出たってことはねぇのかな。」
「さあ?中にはいるかもね。余程強くないと無理でしょうけど。」
そんなことを言いながら、今回は一気に林を抜けて行く。
鳥の鳴く、涼しげな空気漂う林の中で深呼吸をしてみれば、少し二日酔いしている気怠い頭や、何か詰まっているような肺が、一新された様に醒めていく。
明けつつある空と相まって、晴れやかな心地だ。
「改めて、気持ちのいい朝だな。」
「そうね。元来た道を戻るなんていう、冒険においては無粋極まりないことも忘れてしまいそうな朝だわ。ねぇエド?」
「...そうね。」
まぁ、この行き当たりばったりな感じも、冒険らしくはあるよな、きっと。
山爺
森の入口へ着いた俺達は、何時ぞやのように 躊躇することなく入っていった。
まだ日が昇ってから時間は然程経っていないが、目覚めているモンスターもいる。
しかし、まるで近寄って来ない。寧ろ逃げていく。
...俺から血の臭いでもするんだろう。
「...あなたがいるからかモンスターが出て来ないわ。ここまで順調過ぎて怖いぐらいだわ。」
「...まぁ、ここでわちゃわちゃしてるのもアレだしな。山の向こう側早く見たいだろ?」
「そうね。どうなってるのかしらね?向こう側は。」
会話しながらどんどん歩いていく。しかし一向にモンスターは出て来ない。出て来てくれないとつまらねぇんだけどな......。
「今、どこまで来てるのかしら?森が深過ぎてよく見えないわ。」
「ん?そうだなぁ〜。あ、俺が上に行って見て来るか?」
「上に?どうやって?」
「鞭を使うんだ、よっ!」
[シュッ!]
あの頭が他より高い木の枝に鞭を巻き付かせる。
そして魔力を一気に抜き、勢いよく鞭のボディを縮ませ、身体を高く打ち上げる!
[シュオンッッ!]
[ガサッ!!]
「!もう大分近いな!」
上へこの身を送り出せば、荘厳な山がもう近くに見える。
下が前よりもずっと暗くなってきていたから、そろそろだとは思っていたが、
「(あとほんの少しだな。)」
下へ落ちていき、同じように木の枝等を使いつつフワッとマヤの隣に着地。
「あと少しだったぜ!いや〜目がチッカチカしたー!」
「...そんな使い方も出来るのね...!」
「ん?フフ、そうだな!木と木の間を猿みてぇに渡ることもできるんだぜ〜?」
「すごい...!ただの武器じゃないのね...!」
武器マニアだからか食い付きが良い。
「使い手があなたってこともあるでしょうけど、中々用途が広い武器なのね....。盲点だったわ、今まであまり注目しなかったの。」
「まぁまぁ。注目なんてこれからいくらでもd..」
「銃とか剣とか、王道的なものには手を出してきたわ。でも目立たない物だからこそ、他より輝かしいものが隠れてたりするのよね。」
「そ、そうね?」
「まだまだ私も甘かったわ...これからはもっとちゃんと隠れてる子達を掘り出していかないと....。」
「(...フフッ) いくらでもできるさ。さ、先行こうぜ。」
「ええ。」
武器のことになるとホント熱くなるんだなぁ...。
好きなものにここまで熱くなれるってのは素晴らしいことだと思う。
「ここまで武器に明るくて熱心なやつがいると頼もしいよ。」
「まだまだよ、私なんて。お父さんの足元にも及ばないわ。」
「じゃあいつか超える日が来るかもな。」
「....来るかしら。」
「来るさ。」
「だといいけど。」
...所々、どうも自己評価が低いな。
「まぁあの足臭オヤジに負けたままでいる私じゃないけどね。」
撤回。低いんだか高いんだか。
「お父さんのこと嫌いなのか?」
「嫌いじゃないわ。普通に 家族って感じの好きよ。」
「家族って感じの好き...。」
「そうそう。」
仲が悪かったわけじゃないのか。
......これ以上は聞かないでおこう。
そうこうしている間に、やっと山の麓に着いた。
切り立った山肌は、まるでこれから先へ来るなとでも言っているようで、登れるような所はない。
どう突破するべきか....
もうこの際、山に風穴でも開けてトンネルもどきでも作ってしまおうか.....。
♪ 〜 ♪〜 ♫〜 〜 ♪〜
「.....ねぇ、これ、歌?」
「.....ぽいな...。」
微かに聞こえる、嗄れた声。男のものだ。
「あっちからだな。ハハッ!いよいよ冒険らしくて良いじゃねぇか!行ってみようぜ。あっ、何があっても俺がいるから大丈夫だぜ。....でも、どうする?」
「子ども扱いしないで。行くわ。」
「よしっ!」
歌が聞こえる方へと山肌に沿って歩いて行くと、
ポッカリと空いた洞穴を見つけた。
遠くに明かりが見えるその洞穴からは、あの嗄れた歌声が増してはっきり聞こえる。
「.....この中からだな。」
「.....トンネル...なわけないわよね。この感じ....。」
♪ お客人かなぁ? ♪
「「!!」」
俺達に気付いてる....
♪ 入っておいで〜 ♪
「...招かれてるな。」
「お招きには応じないと、よね?」
「ああ...!」
ゾクゾクしてくるな....!!この感じ....!!
「お邪魔しま〜、す....。」
♪ おいで おいで〜 ♪ ヒッヒー ! ♪
テンションたっけぇな....。
♪ 遥か 遠く 樹海の夢は 郷里を飛んで
浬の向こうまで 〜 ♪
「....愉快な人なのね。」
「どうかな〜。」
「....え?」
「こんな所にいるのが、人だと思うか?」
「......確かに。」
♪ おっ? 来たね〜 来たね〜! ♪
植物の緑と、洋燈の光。小さな花が生えていて、なんとなく和やかな空間だ。
♪ いらっしゃ〜い ! 何年ぶりかな〜 ♪
「.....あなたは?」
♪ ワシは〜 ♪
「山爺じゃよ。旅の人。」
「!!!」
急に雰囲気が変わった....!!!
「...エド。」
「ああ。」
「.....ん? ああ違う違う!敵意があるわけじゃないんじゃよ!だから構えた鞭と剣を下ろしておくれ。ワシはただ、ここを通してあげようと思って呼んだだけじゃよ。」
「.....通す?.....この向こうに?」
「当然!この山を普通に越えて行くのは不可能じゃろう。だからワシが助け舟として、ここを通してやるのじゃよ!」
「そうだったのか...!よかった!」
「但し!!」
「「!?」」
「ここを通れるのは.....
ワシのナゾナゾに答えられた者のみじゃ♪」
「「な、ナゾナゾ?」」
「そ〜うじゃ〜冒険者達よ〜!!ワシのナゾナゾに....
答えてみるがよい ♪ 」
ご閲覧ありがとうございました!
もしよろしければ、感想や評価をよろしくお願いします!




