エドワードという男
災厄の魔法使いと同時進行で進めていきます。こちらは殺し屋とは名ばかりの殺し好きの男が出てきます。イかれた奴です。
「クソ!!クソクソクソ!!!マシンガンがなんで.....」
次の言葉は紡がれなかった。
何故なら奴は、 肉片と化したからだ。
「ハァ゛ッハッハッハッハァ゛ーー!!!!」
我ながら気味の悪い、おぞましい嗤い声だ。
でもしょうがないだろ?
俺ァ「エドワード・バンディ」、
世紀の殺し屋と呼ばれた男だ。
謳う中毒者,墓場迄。
改めて思う。これは天職だ。
この世に前世の記憶を残したまま転生して丸19年、
この仕事を始めてから丸12年、
既に何百人もの種族達をぶっ殺した。悦に浸りてぇだけじゃねぇぜ?ちゃんと「御依頼」が来た奴等だけをぶっ殺してる。この数字は仕事を完遂した結果だ。立派なもんだろ?
もともと、俺が生まれ変わった異世界のこの国には、殺し屋なんて職業は無かったらしい。だから殺したい程憎い奴がいてもそのまんま。両者とものうのうと生きる、ってのがこれまでだった。でもよ、そんなの生温いだろ?前世で「世紀の殺し屋」なんて呼ばれた俺にはかな〜〜〜りつまらない国だった。ホント、平和そのもの、なんて素晴らしいこった。ホントにスンバラシイ。
だからぶっ壊してやったのさ。
生物から他者への憎しみなんて馬鹿デケェ感情が無くなるわけがねぇ。職業登録なんて出来るわけねぇから勝手に始めたら、案の定中々の繁盛!やっぱりコイツらにもドス黒ぇモンがあった。
ガンガン儲かるに連れ、一人二人と殺し屋が増えてった。一人がやれば他の誰かも手を出す。俺がいた世界と変わらねぇ。
まぁでも、こんな事を国が許す訳が無い。せめて取引だけは隠密に、慎重にやれと他の奴らにアドバイスしてやったのによぉ、とうとう誰かがヘマしてバレちまった。ま、「自国民がなんか知らねぇけどどんどん減ってる!」とはアチラでもなってただろうし、どうせ時間の問題だったな。
王サマは殺し屋全員を国から永久追放した。人を殺してる奴なんだから全員まとめて死刑にしちまえばいいのに、この期に及んでまだ脳が平和ボケしてるらしい。まぁ俺にとっては好都合。ここかなり変な方向に条例が厳しかったからな。一人での渡航は20歳を過ぎてからなんてヘンテコなのもあったし。これで晴れて自由になれる。
永久追放ってコトは、その国にもう戻れねぇってコト。なら他でやるまでだ。
殺し屋オンリーじゃ、誰かが上の奴らに報告して、今度こそ死刑になるかもしれねぇ。まぁそうなったらなったで全員あの世送りにすればいいだけだが、でも俺ちゃんはお優しい憎しみからの救世主。そんなコトはしねぇ(しないとは言ってない)。だから便利屋を名乗ることにした。 便宜上な。他の奴らもうまく誤魔化してんだろう。
さて、これまでは過去の話。違う土地での2度目のハッピーバースデーを迎えた俺は21になった。今日も今からお仕事だ。
依頼者は恰幅の良い裕福そうなオヤジ。依頼内容は...
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「妻を殺してほしい?」
「ああ、そうなんだ。」
ここは今の俺の住処。といっても目立ちすぎないように慎ましやかなサイズのな。
俺の部屋で俺が出した紅茶を飲みながら、弱り果てたような顔でオヤジは話し始めた。
「妻は、元々金遣いが荒くて...自分の買いたい物を私の金で買い続けていたんだ。毎度毎度出費が酷くて、でもそれを言うといつも、「私は不自由だ!不幸だ!死んでやる!」ってヒステリックになってねぇ。それが本当に面倒くさくて、最早諦めて好き勝手させていたのさ。」
ただの愚痴じゃねぇかと思ったが、まぁ殺しを頼むぐらいなんだからもっとヤベェことがあったんだろう。...紅茶苦ぇな、もっとミルク入れりゃあよかった。
「...その妻がね、」
増して深刻そうな表情と声色でオヤジは言い放った。
「この辺で有名な大型暴力団のボスと浮気していたんだ!!!」
「ブーーーッ!!」
滅多なことじゃもう驚かねぇと思っていたが、急に話が斜め上に飛躍したもんだから紅茶を吹いちまった。何?暴力団?山○組かコー○・ノス○ラか... コイツらはマフィアか。どっちも同じ様なもんか? とにかく、
「暴力団?この辺でいうと...まさかタディッチのとこか?」
「そうなんだ!!ああ本当に馬鹿な女だ...私まで巻き込んで...。」
「巻き込む?どういうことだ?」
オヤジは心底怯えたような顔で言った。
「あいつ、タディッチに嘘を言いやがったんだ!私のことを元愛人だと言い、しつこくつきまとわれていると!それを信じたタディッチが、私に、こ、こ、殺すと言ってきたんだ!!その日からずっと怯えているんだ...いつ来るか分からない... もう気が狂いそうだ!だから、」
「俺に頼みに来たと。事情は分かりました、引き受けましょう。でもその様子じゃ、暴力団もろとも潰した方が良さそうだなァ。」
「ま、まぁそれはそうだが...出来るはずがない、警察や国でさえお手上げの組織だ、潰すことなんて... それに奴ら、マシンガンなんて恐ろしい武器をいくつも持ってるらしいんだ!...君がいくら強くても、その”鞭“を使っても、敵うはずない。」
マシンガンねぇ。あの組織のことだから、多少なりとも銃弾なんかに魔力を込めてんだろう。だが所詮、「めっちゃ弾丸を出すデカめの銃」だ。
「大したことありませんよ。まぁ取り敢えず、今日は自宅じゃなくどっか他の場所に身を隠しといてください。アンタのことだ、別荘とかあるでしょう?」
「ああ。実は今丁度そこに逃げ込んでいて...」
「じゃあ改めて場所を変えた方がいい。奴等のことだ、もう嗅ぎ付けてるでしょう。いくらここから別荘が離れていたって、ガスタノス並みに鼻が効く害獣供ですから。」
「わ、分かった、言う通りにしよう。だが、本当に潰すのか!!?大したことじゃないなんて言っていたが、そんな簡単な訳ないだろう!!?やめておけ!!!死んでほしくないぞ!!!?」
シンパイしてくれるオヤジに、俺は笑って言ってやった。
「まさか、 俺が負けるとでも?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
と、いうわけで、
潰しにきてやったぜぇ〜!タディッチィ〜〜!前から調子に乗ってるお前の顔面をボコボコに凹ませてやりたかったんだよォ〜〜!でもお優しい俺ちゃんはそうもいかねぇからさァ〜〜〜?ホント好都合だぜ〜!今回はよォ〜〜〜!
「あのクソオヤジを潰すのはいつにします?ダンナ。もう準備はできてますぜ。」
「明日だ。アイツは今別荘に逃げ込んでる。そこを奇襲してやるのさ。」
時刻は深夜。魔力を込めたお手製集音器で奴等の会話を拾う。街はずれにある深い森の一部を抉ったクソデケェ穴の中、異物感満載のバカでけぇアジトがある。お前等のせいで小鳥さえ森から追い出された。
「アレは俺の女だ。俺が守ってやるのさ。」
オホホホホ!得意そうに言ってやがるなタディッチ〜
お前に明日なんて来ないのにさ。
鞭をしならせ、振り下ろす
[ドガァァァアアアアアアン!!!!!!!!!]
派手な音が響いた。
お強い暴力団とは思えない程情けない驚愕の叫びと、動揺と混乱に満ちた顔が見える。
ああ堪らねぇ。俺ァコイツの中毒になってんだ。
「キ〜〜〜〜ル」
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