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星羅の月 十四日(晴れ)
星羅の月 十四日(晴れ)
何事もない、ゆっくりとした一日だった。これが嵐の前の静けさではないよう祈る。
魔法薬に作ろうとしていた結晶は、ひとまず諦めることにした。魔法薬に異物を入れて安定させるのは、やっぱり手間が掛かりすぎるのだ。
そのかわり、お茶に結晶を作ることにした。お茶の中に螺旋階段を作ったり、動物を形作ってみたりする。
魔法薬だと気になることでも、お茶であれば気にならない。結晶が溶けてお茶の濃度が変わっても影響があるのは味と色くらいだ。魔法薬と違って効果が変わるなんてありえない。そもそも、お茶に魔法効果なんてないし。
見栄えがよくなって、ついでに結晶が溶け具合で生成からの日数がわかるようになる。
とりあえず、前々から考えていた、木の形の結晶を作った。お茶に沈むくらい小さな木だけど、存在感は何よりも強い。
この結晶入お茶がいい感触だったら、次は香水に結晶を浮かべられないか検証しよう。きっとそっちでもうまくいく。