94/378
星羅の月 十二日(晴れ)
星羅の月 十二日(晴れ)
昨日の雨が嘘のような晴天だった。水たまりが鏡みたいに輝いて、外は目を開けていられないくらいだった。
とても良い日だったから、一日中ゆっくりと過ごしたかったから、お店はいつもよりも少し遅い時間に開けた。
昨日とは違って、お客さんは多かった。昨日の遅れを取り戻せるくらい。魔法薬の棚が枯れそうになるなんて、思ってもいなかった。
棚が綺麗になったから、新しい魔法薬について、考えてもいいかもしれない。今なら整理がしやすい。
今までの魔法薬は使いやすさを重視したものばかりだった。そろそろ幅を広げてみようかと思う。今考えているのは相互薬だ。
問題は売り方だ。基本的に二本以上のセット販売になるから、価格も難しくなる。
初めは二本の薬をそれぞれ飲んだ二人が、お互いの位置を把握できる、くらい単純なものを置いてみようかと考えている。
もっといい方法が思い浮かべば、そっちにするけど……。
相互薬は、お互い、もしくは一方的に影響し合う薬。魔法で複数本の薬を関連付けしたもの。使い方によってはとても面白いんだけど、だからこそ扱いが難しいんだよ。