星羅の月 十一日(雨)
星羅の月 十一日(雨)
久しぶりの雨だった。今まで溜め込んでいたものを吐き出すような、強くて激しい雨だった。
それでか、お客さんがまるで来ない一日になってしまった。生活必需品を取り扱っていれば、お客さんが来たのだろうか。
私のお店にあるものは、どれも一日二日くらいなら誰でも我慢できるような物ばかりだ。毎日買いたくなる物は一つもない。
お店を開いているのに、お客さんがゼロなんて今までに無かった気がする。
でも、他にやりたいことがあった今日は、ありがたい面が全く無かったわけじゃない。魔法の勉強や、好きな薬を作ったりと、いつでもやりたいことには事欠かないけど。
昨日来た、子供について考えた。気になる子と星を見たいそうだ。
その子供との話で近々星がよく見える日があると聞いた。簡単に調べてみた。
どうやら、三日後に【イウラの祝福】という月夜があるらしい。カシュネでもそんな夜があった気がするけど、今まで意識してこなかったから知らなかった。
イウラの祝福は、とにかく明るい夜になる。夜なのに、明かりがなくても小さな落とし物を探せるくらい明るいとか。犯罪率が急低下する一夜でもあるそうだ。
いかに明るくても、夜に子供が出歩くのは危険だと思う。保護者が付くか、家の天井が限界じゃないかな。
それなら、お泊まり会でもやればいいのに。星の観察という名目も作れる。他にも友達を呼べば、気になる子を呼びやすいはず。これなら惚れ薬なんて必要ないね。
意識しないといけないのは、イウラの祝福が三日後にあることだ。今日が終われば残り二日。時間が足りないんじゃないかな。二日で計画を完成させて、人を集める。んー厳しい。