星羅の月 七日(晴れ)
星羅の月 七日(晴れ)
今日はいい日だった。きっと明日もいい日に違いない。
今日は、過去を再現できる薬をどうするかから始まった。お店に出していいのか、下げておくといいのか。
そのときになってみないとわからない、と結論を先送りにしようとしたときに、そのときがやってきた。
お店にやってきたのは三人の正規軍兵士だった。町中にいる兵士は金属の鎧を纏っているけど、この人たちは布の制服を着ていた。
三軒隣であった泥棒について調べているらしい。実は何度か見かけていたから知っていた。三軒隣って、外に出たらすぐに見える距離だし。
再度、何も見ていないかの質問と、ある魔法薬を作れないかと依頼が用件だった。既に用意は終わっていましたよ。
情報系の魔法を得意とする魔法使いが、仕事でサンクシエカを離れているみたいで、捜査が難航していたとか。
魔法薬は飲んで使ったり、身体に塗って使うものが殆どだけど、過去を再現する薬は違う。周囲に撒いて使うのだ。瓶一本分を現場に空けた。
薬の効果は十分に発揮された。でも、犯人が意図的に痕跡を消していたみたいで、思っていたより掠れた姿で再現された。
でも顔が見える一瞬があったらしい。かなり好印象をもらえた。
野次馬はここまで。現場が近いから野次馬をしながらでもお店へ入るお客さんを把握できるからって、あけたままにはできなかった。
兵士の方々は、後々お礼に来るそうだ。また楽しみができてしまった。何がもらえるのだろう。
できれば、食べられないもので、利便性があるものだと嬉しいのだけど……望みすぎかな。薬代ってところじゃないでしょうか。