剥離の月 二十五日(晴れ)
剥離の月 二十五日(晴れ)
剥離の月、最終日。
精霊を生成する魔法薬の製作に取り掛かる。はずだった。
昨日は頭が回っていなかったのだ。
精霊を生成する魔法薬、それ自体の構成や精製方法は頭の中だけでも十分に図にできる。
しかし、材料は現実になければいけないのだ。
作れなかった最大の理由は、材料不足にある。
実際は材料はあるのだ。しかし、精霊を生成する魔法薬を作ってしまうと、そこそこ人気があってよく売れる、いい夢が見られる薬が作れなくなってしまう。
シンジコウの胆がもっとあればいいのに。いい夢が見られる薬では少量しか使わないから、量を置いていなかった。精霊生成薬には、シンジコウの胆が結構な量が必要になるはず。
そんなわけで、今日はいつも通りの一日だった。洗濯物がよく乾く、いい一日だった。
お店の方もいい一日だった。吸熱の魔法が込められた、自己冷却する飲料水が人気だ。安定した香水と合わせて、いい数字になっている。
もうしばらく今日みたいな晴れは続くらしい。つまり、まだ自己冷却する飲料水は出ていくはずだ。
少し前、お客さんが少ない日があったけど、あまり気にしなくて良いのかもしれない。なんて言っていると、足を掬われそうだけど。




