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剥離の月 二十三日(晴れ)
剥離の月 二十三日(晴れ)
店内で魔法を使っていたことが露見した。隠していたわけじゃないけど。
基本的にお店での魔法は禁止らしい。知っていたけど、まさか初級の初級に当たる精霊で言われるとは思っていなかった。
そういうわけで、お店の中では精霊は出せなくなってしまった。可愛かったのに、残念で仕方がない。
なんて、簡単に諦めたりはしない。
この日の内に申請をしに行った。魔法の許可をもらう申請だ。
基本的なやり方はわかっている。薬屋を開くときにも同じような手続きをした。魔法薬が、魔法と同等の危険を秘めているからだ。
魔法薬を知っている身としては、蔑ろにできない。
長時間待たされて、一日掛けて申請を出した。昼前から初めて、日が落ちるまで続いた。
結果は審査落ちだった。
魔法使いとしての技量不足と言われてしまえば、返す言葉がない。
もう裏にいるときしか、精霊を出せないと思うと少し寂しい。まだ出せるようになってから三日も経っていないけど、妙に愛着がある。
表でも出せるように、魔法使いとしての技量を磨いてみようか。
でもそれは、本末転倒な気がする。




