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剥離の月 二十一日(晴れ)
剥離の月 二十一日(晴れ)
最近を思い出すと、今日はとても静かな一日だった。
いつも通りにお店を開いた。ちょっと香水の生産が間に合ってなくて少なめだったけど、いつも通りだったら大丈夫なくらいはあった。
お昼前には、少ない香水をどう並べたらよく見えるか考えたりしていた。そのときに気がついたのだけど、今日はとても静かだった。お客さんがとても少なかったのだ。
午後は、ずっと椅子に座って魔法の教本を読み耽るばかり。
今日みたいな日は好きだけど、同じ日が続くのなら心配になる。
暇だったのはまだ一日だけど、たった一日と油断してはいけないかもしれない。
それはそれとして、魔法がなかなか上手くなったような気がする。まだ初歩の初歩が限界だけど。
小さな精霊を飛ばせるようになった。私の意識と繋がっていて、心の中で命令を出せば従ってくれる。精霊には手が生えていないから、移動するくらいしかできないけど。




