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剥離の月　十九日（晴れ）

変身薬が完成した。納得できる完成度だった。そのおかげで、今日は朝から機嫌がよかった。

変身薬と言っても、身体が全く別になったりはしない。あえて効果は抑えめにした。

人間とは違う部分がちょっとだけできる、くらいなもの。

今日はその変身薬を試しつつ、お店を開いた。

薬を少量だけ使って、頭頂部あたりに獣の耳を生やした。

抜け毛が気になるくらいにはモフモフしていた。可愛かったけど、それだけじゃない。自分の意思で動かせるし、ちゃんと音を聞き取れた。薬が切れたら、消えてしまう以外は最高だったかもしれない。

お客さんからの反応も上々だった。満場一致でかわいかった。売って欲しいという声もあった。

私も気に入った。明日も耳を生やしたいけど、一日中生やそうとすると薬の量が必要になる。結構な値段になるから、難しいかな。

一日中、持続させる方法を考えても面白い。持続時間を長くするくらいはできるけど、一日中となると難しいかもしれない。半ば諦めだ。

飲む装飾品として、近い内に棚に並べたい。

使い切りなところは気掛かりだけど、自分の意思で好きに動かせる装飾品なんて他にないから、需要は高いと思う。