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剥離の月 十七日(晴れ)
剥離の月 十七日(晴れ)
お店を閉めて、大風車園という菜園に来た。
大風車園とは、昔、採れた穀物を加工していた大きな風車から取ったそうだ。今は回っているだけらしい。
その流れでいくと、私のお店はどんな名前になるのだろう。特徴がない、ただの民家みたいなお店だから。
私はハルノタメをもらいにきた。予め、手紙を送っていたので、話は円滑に進んだ。
ハルノタメは、聞いていたよりもずっと安かった。しかも根付き。
悪事に巻き込まれて、ようやく納得できるくらいの値段だった。ハルノタメは最近需要が減ったそうだ。
ハルノタメは蜜が香辛料として使われるのだけど、代用できる安価なものが見つかったそうだ。おかげで、てんで捌けないとか。私にとってはありがたい。
香水に使えそうな花や、魔法薬になる植物をいくらか買っておいた。
私は今、大風車園の近くにある宿にいる。日帰りできない距離なので、一晩だけ泊まりだ。
お店に戻るのは明日になる。戻ったらすぐに、薬を作り始めよう。




