夕餉の月 一日(曇り)
夕餉の月 一日(曇り)
今日は雨が降りそうな天気だった。
私は魔法は使えないので、傘を持ち歩く一日だった。
やはり、街を知るのは重要だと思うのだ。どんなお店が多くて、どんな商品がよく売れているのか。
住民の抱える問題。この街にある伝統や悪習。それらを頭に入れて、どんな薬が求められるのかを考えなければいけない。
そういわけで、今日は遊んだ。
サンクシエカは同じエアラ内ということで、カシュネと明確な違いは見受けられなかった。
食の傾向も生活リズムも似通っている。同じ国で、地方都市でもないのに、明らかな違いなんてあるわけがなかった。
ただ一つ、カシュネと違って、甘い物があまり好まれていないように思えた。
居並ぶ食堂のメニューには、私もよく知る料理が並んでいたけれど、甘みのある物が少ないような印象だ。
七店舗行ったのに、モッコ揚げがどこにもないのはどういうことだろう。
でも、おかげでクシュという魚料理に出会えたのはよかった。
満足できる一日だったけど、一つ残るものがある。
私のお店と競合しそうな薬屋が全く見当たらなかった。それが少し気がかりだ。
薬屋は必要とされるもののはずだ。病気や怪我は脅威 負担? になる。その脅威を退ける薬は重要なはず。
健康体であっても、いざというとき頼れる場所があれば安心感を得られる。
そんな重要なものが見当たらない。不気味なくらいだ。