39/378

新緑の月　八日（晴れ）

新しい香水が完成したので試した。今日の出来事では、それが一番大きなことだった。

実は試したのは私じゃない。フィアノさんが試したいと名乗りを上げたので、無償で提供したのだ。

夕方頃に使用感を聞かせてくれた。

結果は、いまいちだったそうだ。

まず、香りがあまり好きじゃない。これはフィアノさんの好みだ。重要視しなくていいと思う。

香りの強さを自分で調整できない。

その通りだと思った。周囲の匂いに反応して香りを出す仕組みにしたから、量をつけても効果が薄いのだと思う。

改善しないといけない点だ。香水を自身の香りにも反応するようにすれば。いいや、別の方法を考えよう。

香りの変化が遅い。

新しい香水は、周囲の匂いに反応して香りを出す仕組みになっていた。周囲に強い匂いがあれば、強い香りを出す。

体臭を隠すついでに、周囲の嫌な臭いから開放されればいいな、と思ったのだけど、この仕組はまるで見当違いだったみたいだ。

臭いが香水に届いてから、香りが強まる仕組みになっていた。つまり臭い思いをしてから、香水の香りを嗅ぐことになる。それで香りが強まるのが遅い、となってしまったみたい。

ついでに、強い香りが嫌な臭いと混じって、鼻を摘みたくなったそうだ。フィアノさんは悪臭の元になったとか。とても申し訳ない。

他にも問題点は聞いたけど、小さいから割愛で。

最後にして私を最も困らせてくれた問題点。

香りの強さが変わっても、そんなに嬉しくない。

うーむ。うーむ。