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夕餉の月 三日(雨)
夕餉の月 三日(雨)
今日はまた人形を動かす魔法薬を注文してくれたお客さんがきた。
何事かと思ったら、お客さんのお子さんは私の魔法薬がお気に召さなかったそうだ。
動いているように見える幻で駄目なら、実際に動かすしかない。
しかしそれが難しかったから、幻を使う方向にしたのだ。
またお願いします、とお客さんが言った瞬間、私は笑顔を保てたか自信がない。
もういっそのこと、カシュネへ帰って人気がある魔法薬店に注文を入れて、人形を動かす魔法薬を作ってもらおうか。この方法が一番早くて安い気がする。
そんな逃げをするくらいなら、きっぱりと断ろう。
でも、断りたくはないなぁ。




