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夕餉の月 二日(雨)
夕餉の月 二日(雨)
雨二日目。
昨日と同様、見られる雨だったけど、続けてだともう何も思わない。
春を見られる薬だけど、想定よりもずっと順調だ。お客さんの言う春とは味覚らしい。なぜ私に依頼をしたのか。
春の食べ物の味覚や食感の再現を魔法薬でできるかと問われれば、できると言い切れる。でも実物が一番いいのは間違いない。
そんなわけで、私は実物を用意しようと決めた。
食材を集めて料理店に作ってもらう。お客さんだけじゃなくて私も楽しめるだけの量をお願いしよう。
魔法薬でそれらしい光景を作り出して、風景を楽しみながら食べてもいいかもしれない。
春のように暖かい日を見つけて、早めの春に身を浸すのだ。




