372/378
夕餉の月 一日(雨)
夕餉の月 一日(雨)
雨にもいろいろある。今日の雨は風情があった。温度はなかった。
冷たい雨で、雪でも混じっているのではと疑った。しかし何度見ても水のみ。
どうすれば雨だけであんなに冷たくなれるのか、私にはわからない。私にだけ冷たかったのかも。
風がなく雨粒も小さくて、内から見ている分にはいい雨だった。
人形を動かす魔法薬は完成した。完成と言っても、まだ不備がある。お客さんが頷いてくれるであろう質に到達しただけだ。
これ以上品質の向上を目指しても、私の自己満足の域に収まる。お客さんにはあまり関係ないってことだ。
もう少し時間に余裕があれば、支出が変わらない範囲でバランスを整えていた。のろのろやりすぎていたツケだ。




