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豊艷の月 二十六日(晴れ)
豊艷の月 二十六日(晴れ)
人形を動かす魔法薬の試作ができた。
お客さんに試してもらったところ、手直しが必要なところがいくつか見つかったけど、大方は気に入ってもらえた。
作ったのは、本当に人形が動くだけのものだ。寝る間は惜しんでないけど、食事の時間は削って作った。
自信作とはとても言えない。完成度が低い。まだ完成品の図すらしっかり作れていないから当然なんだけど。
一緒に春を見られる魔法薬も進めているけど、こっちはどうなることか。
春と言われても、花が咲いている光景しか浮かんでこない。魔法薬の材料になる植物も増え始めて、多くの草の値段が安く、一部が高くなる。そんな季節だ。
とりあえず私が思う春を作って、お客さんに試してもらうのが一番確実に近いはずだ。そうしよう。




