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豊艷の月 二十二日(曇り)
豊艷の月 二十二日(曇り)
昨日の大移動で空きができた棚の補充をしたかったのだけど、魔法薬の注文が入ってそっちを優先した。
そのおかげで、今もお店はスカスカだ。
なかなか高度な魔法薬になりそうだ。人形を動かす魔法薬を作っている。
所謂、使い魔を使役する魔法、その亜種だ。水薬に込めている魔法はそれだ。
人形を魔法で動かすのは簡単と言えば簡単だ。風を吹かせる魔法を当てても人形は動く。
威力や角度などを調整した風を当て続ければ、踊らせるくらいできる。
でもここでの動かすは、操作するという意味だ。
どうやって操作するのか。予め行動を決めて魔法薬に込めておくか、魔法薬の使用者が動かせるようにするのか。
今回の注文は、自動操作が指名された。外的要因に対してどう動くかを、魔法薬に込めておくことになる。
人形の自律行動は、子どもへのたった一日の贈り物らしい。だから、人間っぽく動くのが理想だ。
ここで問題が浮上する。どうやって動かせばいいのだろう。人形が立ち上がるには、布製の両足では脆すぎる。




