361/378
豊艷の月 十六日(晴れ)
豊艷の月 十六日(晴れ)
今日は魔法薬を放ったらかして、遊びに出かけた。
今月一日に続いて、今年二回目の休みだ。
二回目の休みと言っても、私のお店は毎日休みのようなもの。それくらいにお客さんがこない。
いつもよりちょっと時間がある普通の日という印象だった。
少し遠くにハクネ国の美術品展という展示会があった。残り二日で終るということで、せっかくだから行こうと思ったのだ。
ハクネ国はもう滅んだ国だ。でも今あるどの国よりも技術力があった。
美術品にもその影が現れていて、現状では制作不可能な物も珍しくないそうだ。
やっぱり見ていて楽しかった。特に繊細過ぎる造形物は見ているだけで崩れそうなほどで、スリルがあった。そういう楽しみ方は、趣旨とは違うのはわかるけど。爪よりも薄い線がずっと伸びていた。
もっと早く行っておけばよかったと、今更思う。そうすれば何度も見に行けたものを。惜しいことをした。本当に、時間を忘れて見惚れるほどすごかった。




