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豊艷の月 十一日(晴れ)
豊艷の月 十一日(晴れ)
お店の外での作業がなくなって、一体何をしたものかと、じっとしている一日だった。
魔法薬を作ったり、掃除をしたりとやることはいくらでもあるのだけど、雪の片付けが終わると今まで日中に何をしていたのか思い出せなくなった。
そういうわけで、今日はずっとただじっとしていた。まるで休日だった。新しく作った未完成品コーナーには手を付けたけど、他は埃も溜めたままだ。
時間の無駄遣いとはまさにこれだという見本を走った。
今日もお客さんは少なかった。
ところで、他のお店と比べてお客さんが多い少ないと言うのは間違いではないだろうか。私のお店には、私のお店のペースがある。
一日に十人が平均なら、十一人くれば多いのだ。
そんな考え方をしてみても、やっぱり今日のお客さんは少なかった。




