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豊艷の月 八日(曇り)
豊艷の月 八日(曇り)
幸いにも肥えるばかりの白い妖精は、本日おやすみだった。
でも今の瞬間にも雪ないし雨が降り出しそうな空で、気が気じゃなかった。
今日は一日、街のどこを見ても雪を勘当するばかりで経済活動は影に隠れていた。
そんな日に――そんな日だからこそか、お客さんが多かった。
私のお店はネネッカ通りにはない。少し内側に入った場所だ。通りから無理せず来れる距離にある。ネネッカ通りで閉まった店が多ければ、私のお店が目につく。そういうことらしい。
客数の割に魔法薬はまるで売れなかった。その代わりお茶を始め、副産物系は全力疾走でお店から出ていった。
風が通りやすくなった棚を満たしたいところだけど、今はそれより外だ。雪の除去は、全然進まなかった。




