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豊艷の月 二日(雨)
豊艷の月 二日(雨)
やることもないので、今日からお店を開けた。先月の二十六日に売れた分を補充するため、今日は忙しく働いた。お客さんは見えなかった。
お祭りの熱は、もう街のどこにも残っていなかった。お祭りを継続するお店もあったけど、一昨日よりずっと静かだった。
私は今日の街も好きだ。騒がしいのも悪くないけど、どちらかといえば、落ち着いた街を選びたい。
今日も買い出しをした。買い出し先はどこも既に通常通りに開いていた。昨日一昨日など知らないかのようだった。
そのおかげで私は魔法薬を作り続ける一日を堪能できた。
今日の買い出しは長くなった。理由は寄り道にある。もう騒がしくない、でもまだお祭りを続けようとする街を見て回ってしまった。
おかげで疲れた。買い出しで抱えた重い荷物を持って、遠回りをするものじゃない。でも、今日がいい日になったのは遠回りのおかげだ。




