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朝露の月 十九日(雨)
朝露の月 十九日(雨)
雨が冷えを加速させた。窓は真っ白で、扉の外はもはや氷室だった。氷室との違いは、内にあるか外にあるかくらいなものだ。
今日はイスアさん夫婦が私のお店に来た。魔法薬について教える、その続きだ。
私が伺うんじゃなくてよかった。家からお店までで冷え固まりそうだったのに、更にイスアさんのお店まで行くとなると完全に氷になってしまう。
主に私のお店を紹介するような形になった。何を置いていて、何がよく売れるのか。良質な魔法薬を自慢もした。
その後に一緒に食事をして解散となった。
さて、問題です。私はイスアさんに何を教えたかったのでしょうか。それがちょっと、自分でもわからなくなった。
実のところ、今日は遊びみたいに和気あいあいとやっただけだった。
これじゃあ、ただ時間を浪費しているだけじゃないだろうか。
もう全て寒さのせいにしてしまおう。寒いから、うまく考えられないのだ。
そうもいかないか。
どうやったらイスアさんのお店を回復させられるのか。私の真似事をさせても仕方がない。




