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朝露の月 十八日(晴れ)
朝露の月 十八日(晴れ)
年堺のお祭りは順調に計画が進んでいるらしい。
お祭りについて、フィアノさんから聞けたのはそれだけだった。フィアノさんも詳しく知らないらしい。近い内に街中にチラシが張られるとか。
冷たい風が人を凍らせるような日だった。外を歩くなら日向を進まなければいけない。日陰に入ろうものなら一瞬で全身が冷え固まり後悔するだろう。
どうあってもしばらくは今日のような寒い日が続くに違いない。季節柄のものだ。こればかりは仕方がない。
だからこそ、体を温める手段は選べないのだ。
今日は特に寒かった。昇る煙の本数もいつもよりずっと多かった。
私は魔法薬で暖を取る。当然、費用はかかる。しかし他の暖の取り方を並べてみると、魔法薬はちょっとお金が嵩む程度だ。燃料を買って運ぶ手間を考えたら、むしろ魔法薬は安い。自分で作れる分、更に安くなる。
もはや暖を取らずに生きるのが不可能な寒さになってきている。しばらくは魔法薬の材料を多めに確保しておくとしよう。今日の買い出しから二往復を始めた。




