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朝露の月 四日(晴れ)

朝露の月 四日(晴れ)


過去を思い出せる薬が完成して、昨日お客さんに渡せたので、トトノ尾は本格的に不要になった。またトトノ尾が必要な注文が入るかも知れないけど、そのときはそのときだ。


トトノ尾をエメカさんに渡すため、エメカさんのお店にお邪魔した。


エメカさんの魔法薬店はやっぱり私のお店よりも立派に見える。でも、それは見た目であって、置いてある魔法薬に関してはそこまで脅威を感じなかった。

どの魔法薬も中途半端に見えたのだ。見た目以上に、瓶の内側は劣化していたかもしれない。


エメカさんのお店は、あまり調子がよくないようだ。私のお店以上に、お客さんが来ていないのかもしれない。それなのに、安価な品が目立った。魔法薬店なら、単価を大きくしないと。


エメカさんのお店に入るまでは、トトノ尾を渡してサラバの予定だった。私にも自分のお店を開ける役目がある。これは他の誰にも任せられない。

その役目を遅らせてでも、エメカさんのお店の裏側を見たいと思った。悪く考えすぎているだけかもしれないけど、このお店は長く保たないと感じてしまったから。


トトノ尾を無償提供する引き換えに、お店の裏側に入らせてもらった。魔法薬を精製する工房だ。

まず驚かされたのは、どの器具も最新のものだったことだ。結構な値段がするんだよ。それを揃えていた。私が使っている道具の二世代くらい先を行っている。


でもちぐはぐだった。器具はどれも良いものだったけど、器具同士の相性が悪いように見えた。自分たちで器具を改造できればいいけど、それもしていなかった。


単純に魔法薬についての知識が足りないのかな。トトノ尾を欲しがったのもそれが理由かもしれない。変わった依頼を承けたのかと思ってたけど。正直、トトノ尾には使い道がないよ。


単純に魔法薬の知識不足なら私が助けられる。

利益率は低いけど、安定して捌ける薬の作り方を授けようと考えている。この目論見はまだ伝えていない。


拒否されるかもしれないけど、同じ魔法薬店は潰れてほしくないから。

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