夕餉の月 二十三日(雨)
夕餉の月 二十三日(雨)
久しぶりに魔法薬を精製した。やっぱり楽しい。
魔法薬にはお金がかかる。魔力加工する際に、キリの葉が必要になるからだ。
キリの葉は、枝付きで蓄えてある。今日は蓄えを崩したから出費はなかった。
でも貴重なキリの葉を使うことに違いはないから、どんな魔法薬が欲しいか真剣に考えて決めた。
考えた結果、フィアノさんも気に入っていた香水を魔法薬として精製した。
よく売れるし、私のお店を代表する商品と言ってもいいのではなかろうか。
初めてお店に置く魔法薬になるから、かなり抑えめにして作った。
香りが少しだけ長続きするくらいに留めた。
使用者に高揚感をもたらすようにしようと一度は考えた。でもそれはやりすぎだ。
魔法薬は恐ろしい。好きな魔法効果を服用者に適用できてしまう。幻を見せたり、身体能力に影響を及ぼしたりだ。
普通の薬でも使い方によっては簡単に人の命を奪えてしまうので、魔法薬だけが恐ろしいわけじゃないけれど。
強すぎる薬の効果を抑えて安全にもできるので、結局は魔法薬は使いようだ。
今回作った魔法薬は、魔法薬としては弱すぎる部類になる。それでも魔法薬なのは間違いない。より使いやすい香水として人気になって、お店にいい風をもたらしてほしいところだ。
棚に並ぶのは明後日になる。




