静寂の月 十四日(晴れ)
静寂の月 十四日(晴れ)
傭兵組合へ材料採取の依頼をしてから、お店を開けた。
最近はお店にいるだけで楽しくなってくる。以前もそうだったけど、より顕著だ。最近は全然休んでいない気がする。定休日ってやつを作ってもいいのかもしれない。今更ながらにそう思った。
思っただけで、実際に手を入れるまでどれだけの時間がかかるのかは不明だ。
お店は順調。ちゃんと魔法薬の注文もあった。
片付けが上手になる薬を所望された。
片付けが上手になる薬は、多くの物を片付ける際に役に立つ。どの空間にどれだけの物が入るのかを瞬時に判断できるようになるのだ。
ちなみにこの薬は、頭が良くなる薬や、目が良くなる薬とも呼ばれる。空間把握能力が向上する薬だ。
空間の大きさや形を瞬時に把握できるようになって、片付けが効率的にできるという話だ。
分類的には身体能力向上の魔法に区分される。ばりばり戦い用の魔法だ。
濃い状態の魔法薬を使えば、高速や細かい動きを目で捉えられるようになる。
でも、片付け用なら、ギリギリまで薄めていい。気にするべきは効力よりも持続時間だ。片付け中に途切れなければいいかな。
薄められるとは、少量で一本になるという意味だ。余りも出やすい。棚の魔法薬がまた賑やかになった。
休みを作ろうと、看板の一番下に休みを書き込んだ。四日後に魔法学校にお邪魔してみようと思う。予め連絡を入れておかないと。
それで、新しい魔法をもらえるならよし。もらえないなら、なんとか交渉をしたいけど。
私は結構、無茶なことを考えている気がする。突然訪ねて、新開発の魔法を乞うなんて、非常識に両足を入れていないだろうか。