表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/378

静寂の月 九日(雨)

静寂の月 九日(雨)


強くもなければ弱くもない、普通の雨が降った。


窓を伝うナメクジに驚いて声を上げた日だった。ずっと見ていたら可愛く思えたのは誰にも内緒だ。



雨の日はどうしても客足が遠のく。

だからいつも、棚の補充に時間を充てている。特に精製に時間がかかる魔法薬や、つきっきりにならないと機嫌を悪くするお菓子を優先して作る。


今日もそうした。



それなのに、お客さんがちょくちょくやって来る。ありがたいことだ。改装効果かもしれない。

魔法薬の注文もあった。


辛いものを食べられるようになる薬を欲しがっていた。

舌の感覚を鈍くすればいいのだろうか。辛味のみを指定して感じなくさせればいいのだろうか。

後者だった。


どうやら憧れの人と食事をすることになったらしい。喜びもつかの間、予約したお店を知って唖然としたらしい。

そのお店は、火の拳。私は行ったことがないけど、知っている。辛いものが有名だ。


お客さんは辛いものが苦手だそうだ。どうか助けて! という話だった。


辛いものを食べられるようになるのが一番だと思うけど、そうも言っていられないのだろう。


明日来なさいと私は告げた。食事は明日の夜だそうだ。明日であれば間に合う。



私は急いだ。お店を閉めて、雨の中を走った。どうしてそんなことをしたのかと言うと、材料がなかったのだ。


幸いにも材料は見つかった。しかしそれだけで一日が終わった。まだ何も手を付けていない。

魔法薬は絵の具みたいに混ぜて出来上がり、とはいかない。

時間がないので、これを書き終えたら寝ずに魔法薬の精製をしようと思う。


どうして寝ないと決めると、眠くなってくるのだろう。やりたくない。それでも頑張らないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ