静寂の月 四日(晴れ)
静寂の月 四日(晴れ)
晴れた。
朝から急いで用意を進めて、テーブルと椅子をお店の前に出した。もう改装工事の予定は延びないようなので、これが最後の簡易屋台でのお店だ。二回目にして最後だ。
昨日と一昨日に雨が降って、お店を出せなかった。
その二日に出す予定だった副産物系を総動員した。
雨は今朝上がったみたいだ。まだ道には多くの水が残っていた。お店を出すより、掃除が先だったかもしれない。でも、もう品を出してしまった。一度品を引っ込めて、掃除してから、また品を出したくはなかった。手間がかかりすぎる。
そんなわけで、濡れた道を眺めながらお客さんを待った。
走る子どもが水たまりを跳ね上げて、泥がついても気が付かずに走り去っていく。あの子のお母さんは洗濯が大変だ。
私の品を横目に通り過ぎた人は、確か五軒くらい隣の家の人だった。ペンを作って売っている。
挨拶と団子のお土産をくれたのは常連さんだ。定期的に香水を買ってくれる。今日はまだその日じゃない。
私が団子を食べているときに、お向かいさんを訪ねた人は、私は知らない。お向かいさんのお客さんだから、知らなくて当然なんだけど。
その次に来てくれた人は、私のお客さんだった。お菓子とお茶を一つずつ買ってくれた。
もらった団子を一つ付けたら喜んでくれた。
改装工事が終わった。私が考えていたよりも、ずっと綺麗になっていた。どうやら全体的に清掃もしてくれたみたいで、私は気にしていなかった、カウンターの下にあったくすみも無くなっている。
明日はこの綺麗になったお店に、品を戻す。お店は開かずに、準備に集中するつもりだ。