静寂の月 一日(晴れ)
静寂の月 一日(晴れ)
お店の改装工事が始まった。私のお店なのに、私ですら自由に出入りができない状況だ。
お店の裏にある倉庫や工房には入れるけど、お店を回り込んで裏口から入らないといけない。
今日はその裏口からテーブルと椅子を運んで、お店の前に簡易屋台を作った。置いた品は副産物系ばかり、魔法薬は一本も置かなかった。
売れ行きはよかった。物珍しさから、いつもはお店を通り過ぎる人も寄ってくれた。副産物系、つまりはお茶とか菓子類ばかりだったから、買いやすいのもあったと思う。
子どもが寄り付きやすかったのが効いていた。同じチェック柄を着た小さな四兄弟も、私が外でお店をやっていなければ、近づいて来なかったはずだ。
予定したよりもずっと早く売り切れた。空いた時間は結晶花のために使った。
八種類ある花の内、七種類は使い物にならなかった。魔法薬から取り出すと砕けたのだ。結晶になったのは一種類のみ。どうやら結晶になる花は限られるみたいだ。
たまたま結晶になる花が、他になかったのか、この花だけが結晶になるのか不明だ。その辺りも、調べていかないと。
カシュネの知り合いに結晶花を送ることになっている。病的なくらい調べてくれるはずだ。