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黄昏の月 二十一日(曇り)
黄昏の月 二十一日(曇り)
フィアノさんのお店で買った音響装置を使ったのはいつ以来だろうか。水を注ぐと雨の音が鳴るだけの装置だ。
今日、ふと思ってしまった。魔法薬を注いだらどうなるのだろうか。
魔法薬を作るところから始まった。まず作ったのは、流すと鈴に似た音が鳴る魔法薬だ。
注いでみると、大音量でうるさかった。雨の間隔で鈴の音がするのだ。もう二度とこの魔法薬は注がない。注ぐとしても、鈴の音を小さく調整しないと。
うるさかったし、近所迷惑にもなってしまったけど、これで音響装置で遊べると確信できた。
魔法薬を遊びで乱造するのは無理だ。材料が高い。後々販売できるならいいけど、鈴の音がするだけの高額な液体を好んで買う人はいない。
今日作った遊び用魔法薬はもう一本だけにした。
その一本は、水入りグラスが響く音を取り込んだ魔法薬だ。振ったり雫を落としたりすると、水入りグラスを弾いたような音がする。
鈴の音で反省して、音はかなり小さめにした。
とてもいい音が鳴った。でも、連続して聞くと、やっぱりうるさく聞こえてしまう。