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黄昏の月 十四日(晴れ)
黄昏の月 十四日(晴れ)
本当に何もない一日だった。一日使ってお客さんが二人だけだったのだ。何も売れなかった。せっかくいい天気だったのに、これではお店を開けていた意味がわからなくなる。でもその分、他のことに時間を使えたけど。
その時間で精霊薬に手を加えた。
半ば精霊薬に多面性を持たせるのは、あきらめかけている。やっぱり現実的に不可能だ。
複数の魔法を、一つの魔法薬に込めるだけなら無理じゃない。難しいけどできる。でも、その込めた魔法を発動させずに、魔法薬を消化しきるのはありえない。
それでも完全にあきらめたわけじゃない。魔法薬が効果を発揮するスイッチを複数作ったり、使う魔法薬の量によって魔法の濃さに変化が出るよう濃度を調整したりした。
どちらも理想からは遠いけど、一応は魔法薬の効果を選択できるようにはなっている。
進歩というには牛歩すぎるけど、それでも進歩だ。