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黄昏の月 十一日(晴れ)
黄昏の月 十一日(晴れ)
今日は自分が楽しむために魔法薬を作った。
一昨日、割ってしまった灯りの魔法薬の精製と同時に、ちょっと遊んだ。
作ったのは、風景を入れ込める魔法薬だ。光りが灯る魔法薬を変質させて作ったから、仄かな灯りにもなる。
風景を入れ込む魔法薬とは、銀色の水面のように反射した風景を、常に映し続ける液体だ。普通なら液体に映す風景は近くにないといけない。でもこの魔法薬は、敷居で囲っても、一度映した風景を映し続けるのだ。
つまりは、動く風景画みたいなものだ。ちょっと違うか。
月や星空を映したり、花吹雪や鳥の影を取り込むのが通例だ。私は白い雲を取り込ませた。
こうして、真っ白な雲模様が瓶に入ったランプが出来上がった。
この魔法薬はお店に出す予定はない。灯りを付けると利益の面で難が出る。どうしても材料が高価なものになる。自分用の一本を作るのにも悩んだ。
結局、思いついてしまったら誘惑には勝てなかった。今正面にあるけど、なかなか満足である。